東京商工リサーチが9日発表した2月の全国企業倒産集計(負債額1000万円以上)は前年同月比10・7%増の651件となり、6カ月連続で増加した。消費税増税や人手不足を理由にした倒産が増加。3月には新型コロナウイルスの感染拡大による宿泊業や飲食業などの倒産が増えることが確実視されており、今年度の倒産件数は11年ぶりに前年度を上回る勢いだ。
産業別では10産業のうち8産業で倒産が増加。人手不足などに加え、新型コロナウイルス拡大の影響で中国から部品供給が滞っている製造業や、訪日客減少で運輸業がそれぞれ3割以上倒産件数が増えた。業種別では飲食料品製造業が3・85倍の27件、プラスチック製品製造業が2・33倍の7件に急増した。
一方、2月の負債総額は63・4%減の712億8300万円で、2月として過去30年間で最少を記録した。前年同月に1000億円以上の大型倒産があった反動減が大きな理由。
東京商工リサーチは今後、新型コロナウイルスの感染拡大で「地域、規模、業種を問わず影響が広がる」と分析。「人手不足や後継者難など複層的な理由で、春先以降も倒産件数の増加傾向は続く」とみている。今年度2月までの累計の倒産件数は前年同期比5・9%増の7891件に上る。3月も倒産は増えると見込まれており、前年度を上回る公算が大きい。