日米間の関税交渉が期限を迎えようとする中、トランプ大統領は再び日本への不満をあらわにし、30%を超える高い関税を課す可能性を示唆しました。日本政府や産業界は、この新たな圧力にどう対応すべきか頭を悩ませています。
トランプ大統領、日本の貿易姿勢を批判
トランプ大統領は7月1日、「日本はコメを必要としているのに、我々のコメを受け取らない。貿易で彼らは非常に不公平だった。そんな時代は過ぎ去った」と述べ、日米貿易交渉に対する強い不満を示しました。「日本と交渉してきたが、取引できるか疑わしい。彼らはとても強硬で甘やかされてきた」とも付け加えました。
日米貿易交渉への不満を表明するトランプ米大統領
既存の関税脅威と新たな示唆
日本は現在、相互関税24%(一律10%+日本14%)と自動車関税25%という二重の関税脅威に直面しています。これまでに赤羽大臣が7回の交渉を行いましたが、双方の隔たりは埋まっていません。こうした状況の中、トランプ大統領はさらに一歩進んでこう発言しました。「私は日本に対して手紙を書く。日本には30%か35%か、我々が決定する関税を支払ってもらう」と、既存の枠組みを超えた追加関税の可能性を示唆したのです。
日本側の困惑と懸念
この発言に対し、日本の財界トップである日本商工会議所の小林健会頭は、「日本を尊敬しているとかいろんなこと言いながら、非常になんていうか、馬鹿にした交渉のやり方だと思っていますよ。過敏に我々が反応すると、それは逆に言うと、交渉で言うと思うつぼだと」と強く批判しました。政府関係者も「完全に予想外」「数字はいちいち真に受けないほうが良いが、どう着地させればいいのか…」と頭を抱えています。自動車部品メーカーであるテインの渡邊宏尚執行役員は、「(トランプ)関税の上下で、どこで生産するか、価格をどうするかというので毎日、混乱状態が続いている」と現状の混乱を語りました。この会社は、売上の2割近くがアメリカ向けの輸出であり、関税の上乗せは経営に大きなダメージを与えかねないため、深刻な懸念を抱いています。
トランプ大統領による新たな関税示唆は、日米間の貿易交渉を一層複雑にし、日本政府や関連産業に大きな不確実性をもたらしています。今後の交渉の行方と、それが日本経済に与える影響が注視されます。
出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN