新型コロナウイルスの感染が拡大する中、金融市場は不安定な値動きを続けている。10日の東京株式市場で、日経平均株価は3営業日ぶりに反発した。1万9千円を割り込む場面もあったが、トランプ米大統領が景気対策を打ち出したことで市場心理が改善し、プラスに転じた。1日の値幅は1千円を超えた。
日経平均の終値は前日比168円36銭高の1万9867円12銭。前日の米国株のあおりを受け、朝方は全面安となった。一時800円超下げ、取引時間中としては約2年11カ月ぶりの安値をつけた。
その後、トランプ米大統領が中小企業支援や減税を検討していることが伝わると、市場に安心感が広がり株価は反転。割安感が出ていた銘柄を中心に買い戻しが入った。
東京外国為替市場では、円を売ってドルを買う動きが強まった。対ドル円相場は一時、1ドル=105円台をつけ、前日より円安に傾いた。
前日の米ニューヨーク市場で、ダウ工業株30種平均は過去最大の下げ幅を記録した。サウジアラビアやロシアの増産観測を受けた原油市況の急落が金融市場全体に混乱をもたらした。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「日米の景気対策への期待が広がっている。中身次第で相場の下支えになるだろう」と話す。一方、感染拡大が終息に向かう気配はなく、当面は不安定な展開が予想される。