【シンガポール=森浩】新型コロナウイルス感染の警戒から、2カ国が入港を拒んだクルーズ船「コスタ・フォーチュナ」が10日、シンガポールに入港した。2週間近くアジアの海上をさまよったクルーズ船「ウエステルダム」と同様、行き先を失う可能性が出ていた。乗客に新型コロナウイルスの感染者はいなかったという。
コスタ・フォーチュナには1631人の乗客がおり、3日にシンガポールを出発し、タイとマレーシアを周遊した後、シンガポールに戻る予定だった。地元メディアによると、乗客のうち約60人が、多数の感染者が確認されているイタリア出身だったことから、タイ南部プーケットとマレーシア北部ペナンで入港が認められなかった。
同船からは10日深夜までに、体温検査などを経て全ての乗客が下船した。外国人の乗客は2日以内にそれぞれの国に帰る予定。政府は入港を認めた理由について、体調不良を訴えた乗客がいなかったことや、同船がシンガポールを母港としていることなどを挙げた。