観光庁は2月19日、1月の訪日外国人旅行者数を発表、翌20日の各紙朝刊に詳報が掲載された。各紙が注目しているのは中国の春節期間(1月24日~2月2日)における中国人訪日客の減少で、昨年と比較して約2割減少したという。それは例の新型コロナウイルスによる影響のためであるが、2月以降さらに客数が減ることが心配されている。
しかし、本当に心配しなければならないのは全く逆のことである。1月全体だと中国人訪日客数は昨年より22・6%増加し、92万4800人であった。各紙は、この1月全体の訪日客数に少しも脅威を感じていないようだが、この数字こそ、わが国の新型コロナウイルスの拡散と、直接関係する数字といえよう。
ところで、震源地である武漢から日本への入国者はどれほどあったのか。朝日新聞2月1日、高田正幸記者の記事によると「第一財経は昨年12月30日~1月22日に武漢を出発した飛行機の座席数から、国外への渡航者数も予想。最も多かったのはタイで、航空便が満席だったと仮定すると、最大2万7千人が訪問。2位の日本は同じく約1万8千人、3番目のシンガポールは約1万1千人との結果だった」とある。(「第一財経」は中国の経済系メディア)
武漢が封鎖されたのは1月23日であるから、感染者はそれ以前に大量に日本に入国していたのだ。そのため、日本でも感染者が出現し、観光バス運転手の感染や屋形船での集団感染がおこった。いずれも原因は、今から約2カ月も前の1月上~中旬、武漢の観光客との接触だろう。
しかし武漢からの入国者、1万8千人という数字は、ほとんど注目されなかった。この間、日本では主にチャーター便やクルーズ船を問題にしていたが、市中感染は確実に進行していただろう。現在イタリア、フランス、アメリカでも感染者が増えているが、感染源は春節時期の中国人観光客である疑いが強い。