安堵も「心からの謝罪ない」 相模原殺傷判決受け被害者家族ら





相模原殺傷事件で、植松聖被告の判決公判が横浜地裁で開かれた。判決後、会見する障害者施設「津久井やまゆり園」の入倉かおる園長(右)と社会福祉法人「かながわ共同会」の草光純二理事長=16日、横浜市中区(松本健吾撮影)

 相模原市の知的障害者施設殺傷事件で植松聖被告(30)に死刑判決が言い渡された16日、事件の被害者や関係者らは「一つの区切りがついた」と冷静に受け止めた。ただ公判では、植松被告が「意思疎通できない重度障害者は安楽死させるべき」という考えを持つに至った背景は明らかにならなかった。被告が審理を通じて障害への差別を口にし続けたこともあり、「心からの謝罪はなかった」「残念」とする声も聞かれた。

 「死刑という納得のいく判決が出て安堵(あんど)しました。お墓に行って報告したいと思います」。犠牲者の一人で、公判中は「甲S」として匿名で審理された男性入所者の母親と姉は判決後、代理人を通じて文書でコメントを寄せた。

 事件で重傷を負った尾野一矢さん(46)の父、剛志(たかし)さん(76)も判決後に会見し、「ほっとしている」と心情を述べた。

 ただ、公判で植松被告の責任能力の有無が主な争点となり、被告の差別的な主張がどのように形成されていったかといった経緯の解明がほとんどなされなかったことについて「生い立ちや両親のことを聞かないと分からないと思ったが、結局、彼の口から聞くことができなかった。残念で、すっきりしない」と話した。

 被害に遭った施設の職員の一人も、代理人を通じて「最後の最後まで、亡くなった方々、けがをさせた方々への心からの謝罪がありませんでした。被害者の方々に対する冒涜(ぼうとく)を繰り返したことに気づき、謝罪を考えてほしい」とコメントした。

 一方、事件現場となった津久井やまゆり園(現・同園芹が谷園舎)の入倉かおる園長も会見し、「多くの方が望む刑が下されたと思う。当然のこととして受け止めている」と語った。



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