「演劇のまち」を目指す兵庫県豊岡市で、劇作家の平田オリザさんが主宰する劇団「青年団」の活動拠点となる新しい劇場「江原河畔(えばらかはん)劇場」(同市日高町)が28日にプレオープンする。29日までは平田さん作・演出の「隣にいても一人」が無料で上演され、グランドオープンは4月末を予定している。
新劇場は、円山川沿いのJR江原駅前の旧豊岡市商工会館(木造3階建て、延べ約1100平方メートル)を改修。1階は約120人収容の劇場、2階はスタジオや劇団員のけいこ場、楽屋などがあり、昭和10年に建設された旧会館の外観を生かしたレトロなたたずまいとなっている。
経済産業省の補助金などを受けて、昨年9月から改修が始まったが、耐震補強費などが膨らみ、全体事業費(約1億9千万円)の一部はネットのクラウドファンディングで募集した。
平田さんは、同市で令和3(2021)年の開学を目指している「国際観光芸術専門職大学(仮称)」の学長候補者。劇場運営は平田さんの有限会社「アゴラ企画」が担当する。
クラウドファンディングは劇団員の村井まどかさん(38)が代表を務める一般社団法人「江原河畔劇場」が担っている。
劇場は現在、プレオープンに向けて内装工事が急ピッチで進み、公演用の資材が次々と運び込まれている。平田さんは「ここから演劇史に残る作品を発信していきたい。今からワクワクしています」と期待感を膨らませている。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるが、「今のところ、プレオープンは規模を縮小して開催する方向で市とも協議を進めている」(平田さん)という。
上演する「隣にいても一人」(約1時間)は、夫婦のあり方を淡々とつづる平田さん流の不条理劇。
開演時間は28日午後3時、同6時▽29日午前11時、午後2時。各回終演後に平田さんのアフタートークがある。入場は要予約。問い合わせは青年団(03・3469・9107)。