米4~6月GDPは戦後最悪予想…景気後退濃厚 失業者激増か





証券取引所で働くディーラー=20日、ニューヨーク(AP)

 【ワシントン=塩原永久】新型コロナウイルスの感染拡大により、米国が景気後退入りするとの見方が強まってきた。各地で厳しい感染症対策がとられ、消費の急減や生産の停滞が見込まれるためだ。第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)は戦後最悪のマイナス成長になるとの予測が浮上。失業者数も記録的な高水準に達する可能性が指摘され始めた。

■マイナス24%に下方修正

 米金融大手ゴールドマン・サックスは20日、第2四半期の米GDP成長率見通しを、従来のマイナス5%から24%へと大幅に下方修正した。数日前に予測を0%からマイナス5%に引き下げたばかりだが、前例がない「唐突な経済活動の停止」で、景気に急ブレーキがかかると分析する。

 同社によると、恐慌時の1958年第1四半期の最低記録(マイナス10%)を上回る落ち込み。ほかの金融各社などからも、10%超のマイナス成長予測が出ている。ゴールドマンは第1四半期(1~3月期)もマイナス6%に引き下げ、GDPの収縮が2四半期続く「景気後退」を見込んだ。

 感染者が急増する東部ニューヨーク州や西部カリフォルニア州など、経済規模が大きい地域で住民の自宅待機が命じられ、外食やホテルは売り上げが急減。自動車メーカーなどでの工場休止により、生産活動も急低下するとみられている。

■第3四半期はプラス予測だが…

 感染防止策は雇用にも波及しており、宿泊客が急減したホテルチェーン大手が数万人の従業員に無給休暇を指示すると報じられた。

 米労働省によると、14日までの週の失業保険申請件数は28万1千件と約2年半ぶりの高水準だった。厳格な外出禁止措置などがとられた地域を中心に、失業者が急増しているとみられ、ロイター通信によると、州別データをもとにした予測で、21日までの週に150万件前後に達する可能性がある。82年に記録した69万5千件を更新する計算だ。

 感染増加が押さえ込めれば、企業が事業を再開し、景気は急回復する。夏場には感染症は収束するとの見方から、エコノミストは第3四半期(7~9月期)以降にプラス成長に転じる予測を示している。

 ただ、感染収束が遅れれば景気低迷も長引き、失業者の増加や、中小企業を中心とした倒産の連鎖を招きかねない。世界経済を牽引(けんいん)してきた米国が新型コロナの打撃を引きずれば、各国の景気回復の足取りを重くする恐れもある。



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