景況感にコロナショック 短観民間予想、製造業7年ぶりマイナス





オフィス街を歩く人々=東京都千代田区(早坂洋祐撮影)

 日本銀行が4月1日に発表する3月の全国企業短期経済観測調査(短観)について、民間のシンクタンクなど13社の予想が出そろった。大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全社が7年ぶりのマイナスに悪化すると予想。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で生産が停止している自動車産業を中心に落ち込みが加速するとの見解だ。好調だった非製造業にも影響はおよんでおり、感染収束が読めない中、先行きはさらに悪化するとみている。

 業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いたもの。3月の大企業製造業DIの民間予想は平均でマイナス10で、昨年12月の前回調査のゼロから10ポイントも悪化し、日銀が異次元緩和を始める前の平成25年3月調査(マイナス8)以来のマイナスとなる見通しだ。

 感染の震源地となった中国からの部品供給が滞ったことで、国内外の生産工場の停止に追い込まれた自動車や機械を中心に景況感が悪化すると分析。トイレットペーパーやマスクなどの紙製品の特需が生じているものの、「原材料不の供給不足から紙・パルプも悪化する」(みずほ総合研究所)とみられ、幅広い業種が下押しされるとみる。

 一方、米中貿易摩擦の激化などですでに低迷していた製造業に代わり、国内景気を牽(けん)引(いん)する堅調さを維持していた非製造業への打撃も避けられないようだ。

 感染の拡大防止のため各国が渡航制限や外出に自粛を決めたことで、国内外の旅行者の減少やイベントの休止が相次いだ。それにより、ホテル・旅館業や外食、運輸を中心に景況感が悪化する見通し。民間13社のうち約半数の6社が約9年ぶりのマイナス転換を予想しており、「悪化幅は製造業を上回る見込みだ」(三菱総合研究所)。

 日銀短観は国内の約1万社から景気や経営状況を聞き取り、企業の景気判断をみる経済指標で、政府の経済対策や日銀の金融政策の参考とされる。



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