衆院静岡4区補選をめぐり、主要野党は難産の末、元東京都議の新人で候補を一本化した。ただ、ここでも新型コロナウイルスの影響が広がり、連携はぐらついている。
いち早く候補の推薦を決め、共闘を主導したのは国民民主党だ。しかし6日の党役員会では、感染拡大を考慮し、選挙の延期を求める方針を決めた。党静岡県連会長の榛葉賀津也参院幹事長は記者会見で「不要不急の行動を避けろと求めながら、選挙に行こうとはとても言えない」と訴えた。
国民は6日の野党幹事長会談で延期を提起した。しかし、他党から「最初から勝負を下りているように思われる」と反対論が続出。結局、玉木雄一郎代表は8日の記者会見で「戦う以上は全力で取り組む」と述べ、延期論を取り下げた。
玉木氏は「(本来)正常な環境で選挙が行われることが適切と思う」と不本意さもにじませており、臨戦モードとはほど遠い。
一方、延期論を封じた立憲民主党と共産党も、意気込みには温度差がある。
立民は昨年7月の参院選静岡選挙区に出馬した榛葉氏に対抗馬を立てた経緯もあり、もとより当事者意識が乏しい。幹部は「(国民は)どうやって戦うつもりなんだろう」と人ごとのように語る。
共産は独自候補を取り下げたこともあり、選挙戦には積極的だ。11、12両日には小池晃書記局長らが現地入りする。東京から地方への移動は政府が強く自粛を求めているが、志位和夫委員長は9日の会見で「感染防止の最大の努力をしつつ一番効果的なやり方で応援に行く」と意気込んだ。
次期衆院選へ共闘ムードを盛り上げる狙いもあり、共産は各党幹部がそろって応援に入るプランも練る。しかし、玉木氏は「党首横並びのようなことはやめる。それだけで濃厚接触だ」と後ろ向きだ。(千葉倫之、千田恒弥)