【ワシントン=黒瀬悦成】11月の米大統領選に向けた民主党の候補指名争いから撤退を表明した急進左派のサンダース上院議員(78)は13日、候補指名を確実にしている中道穏健派のバイデン前副大統領(77)を支持すると正式に表明した。
民主党は、指名争いの過程で左派と中道穏健派の対立が深刻化し、サンダース氏の支持層が本選に向けてバイデン氏を支持しない懸念が強まっている。
サンダース氏による支持表明は、バイデン氏に左派的な公約の採用を確約させる形で、共和党のトランプ大統領(73)の再選阻止に向けた党の亀裂修復を図る狙いがある。
サンダース氏は、バイデン陣営が運営するウェブサイト上のイベントに登場し、「バイデン氏にホワイトハウス入りしてもらいたい。全ての米国民に(バイデン氏の)支持を呼びかけたい」と訴えた。
これに対しバイデン氏は謝意を表明し、「私とバーニー(サンダース氏)は、米国はウォール街やヘッジファンドでなく、労働者によって築かれたと心から確信している」などと語り、目指す政策目標は一致していると強調した。
また、サンダース氏が唱える「最低賃金を時給15ドルに引き上げ」「公立大学の授業料無償化」などに全面的に賛意を示し、サンダース氏に「決して失望はさせない」と言明した。
バイデン氏はさらに、経済、教育、移民、気候変動など6つの重要政策に関し、バイデン、サンダース両陣営による6つの合同作業部会を設置し、政策の立案を進めていくことを明らかにした。
バイデン氏はまた、自身が大統領に就任すれば「ルーズベルト氏(在任1933~45年)以来の最も進歩的な政権」になると強調。バイデン氏としては、本選で当選するにはサンダース氏の支持層を取り込むことが不可欠で、今後はサンダース支持層を意識して政治的立場を一層左派寄りにしていく可能性が高い。
一方、サンダースを支持する民主党左派の若手筆頭格であるオカシオコルテス下院議員は米紙ニューヨーク・タイムズの取材に「バイデン氏を支持する用意ができていない」と語るなど、左派の間ではバイデン陣営への合流に慎重な声が声が依然として強い。