G20財務相会議が15日にテレビ電話会議 途上国の債務の返済猶予を検討


 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日米欧と新興国からなる20カ国・地域(G20)は経済情勢の悪化に苦しむ発展途上国の債務返済を猶予する方向で検討を進めている。アフリカなどの最貧国が対象になる見込み。返済を先延ばしすることで、途上国の危機対応資金が不足して感染が広がるのを防ぐほか、経済のさらなる悪化を食い止める狙いだ。15日に開かれる財務相・中央銀行総裁によるテレビ電話会議で議論する。

 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は9日の講演で、感染症対策に十分な予算を投入できない途上国について「高いリスクがある」と強調した。

 コロナ危機による世界不況の中で途上国に政府開発援助(ODA)などの返済を従来通り求めれば、ウイルス対策の資金が不足する恐れがある。複数の途上国で同時多発的に経済情勢が悪化すると世界的な金融危機の芽にもなりかねない。

 このため、世界銀行とIMFは先月、G20に途上国への返済猶予を要請。2020年に返済期限を迎える債務を1~5年程度繰り延べる案が浮上している。

 途上国はコロナショックで急速な通貨安に見舞われ外貨建て債務の返済負担が重くなった。為替市場で投資家が信用力のあるドルに資金を移す動きが活発化し、リスクが高い途上国通貨の売り注文が加速したからだ。過去2カ月の新興国市場からの資金流出は約1千億ドル(約10兆8千億円)に上る。

 一方、G20には対外融資の透明性確保が求められるパリクラブ(主要債権国会議)に正式加盟していない中国などの新興国も参加している。中国は途上国を含むアフリカやアジアなどで巨額の融資により政治的影響力を拡大しており、今回の措置についてどのような出方を示すか注目される。(林修太郎)



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