初めて見てから40年以上もたつのに、名曲「タラのテーマ」とともに今も心に残るシーンがある。南北戦争で荒廃した故郷の大地にたたずむヒロイン(ビビアン・リー)。夕日を背景に拳を上げ、こう叫ぶ。
「主よ、お聞きください。この試練に私は負けません。生き抜いてみせます!」
どんな困難にも、自分の力で立ち向かう姿が格好良かった。そして有名なラストシーンは言わずもがな。この主人公は窮地に陥ると、いつでも明日に希望を託すところも共感を呼ぶ。
奴隷制が残る1860年代の米国南部が舞台で、大農園主の娘、スカーレット・オハラの波乱に満ちた半生を描いた作品だ。炎上するアトランタ市街を馬車で脱出する場面や地面に横たわる、おびただしい数の負傷兵をズームアウトしながら捉えたシーンなど、その迫力に目を奪われた。
映画が米国で公開されたのは1939年。80年以上も前の作品とは思えないようなテクニカラーによる美しい映像、名場面の数々。そして新型コロナウイルスの猛威に苦しんでいる今、希望を捨てず何事にも負けないヒロインの姿に、勇気づけられることだろう。
DVD(ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント1429円+税)のほか、U-NEXTなどで配信している。(水沼啓子)