■エコノミスト緊急アンケート<3>
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が生産や販売、輸出、投資など幅広い企業活動に影を落としている。外出自粛の動きが全国に広がり、多くの企業が営業の縮小や休業に追い込まれている。業績予想の下方修正も相次いでいる。
外出自粛などの影響で、上場企業の最終利益がどの程度下押しされるか、エコノミストに予想を尋ねた。令和2年4~6月期について、回答者の平均はマイナス64・9%となった。「マイナス150%」(農林中金総合研究所の南武志氏)や「ほぼマイナス100%」(明治安田総合研究所の小玉祐一氏)というより厳しい予想もある。
政府の緊急事態宣言や、自治体による不要不急の外出の自粛要請、一部施設への休業・使用停止の要請・指示の時期と重なるだけに、ダメージは深刻だ。
4~6月期について、岩井コスモ証券の有沢正一氏は「消費の落ち込みとサプライチェーン(供給網)混乱の影響が重なって、企業業績に最も厳しい時期になりそうだ」と身構える。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「業種によっては4~6月期の売上高が半分以下になる。人件費や不動産賃貸料などの固定費は従来通り負担することになるため、最終利益も半減程度を覚悟する必要がある」と警戒する。
2年度は平均でマイナス33・6%となった。多くのエコノミストは夏以降の持ち直しを想定するが、通期でも業績の大幅悪化は避けられそうもない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏は「落ち込み前の水準を取り戻すには時間を要する」と指摘。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「全産業の年度を通した減益幅はリーマン・ショック時並みとなりそうだ」と予想する。
感染拡大の悪影響を特に強く受ける業種を複数回答で尋ねたところ、最多は宿泊と航空(いずれも18票)、次点は飲食(16票)と外出自粛による需要消失の影響が色濃く出た。4番目は自動車(11票)で、工場の操業停止や部品供給網の寸断が重しとなっている。