女性をナンパして飲みに誘い、大量の酒を飲ませて性的暴行を加えた男は、女性の口説き方を有料で教えるナンパ塾の「塾生」だった-。歯科医や公務員、有名企業の社員ら約100人の塾生を擁し、10人以上の逮捕者を出したナンパ塾「リアルナンパアカデミー」(通称・RNA)の連続性暴行事件。今年3月、主犯格の男が実刑判決を受けたが、被害者の一人の20代女性が産経新聞の取材に応じた。「体を傷つけられただけでなく、心も人生もめちゃくちゃにされた」。証言から浮かび上がったのは、卑劣な手口の数々だった。(大竹直樹)
巧妙な手口
「飲まされたお酒の量が多く、よく覚えていません。マンションの部屋に連れていかれ、次に気づいたのは午前3時半くらいでした。あまりに気持ち悪くて寝てしまったのです」
被害女性が初対面の男2人から代わる代わる性的暴行を受けたのは平成29年7月。飲食店で「ダーツやろう」と誘われ、男2人と女性側2人で合コンをすることになった。女性は「これからダーツバーに行くのかと思ったら、マンションだった。抵抗はあったが、マンションまで来て『帰る』と言うのもかわいそうだと思い、部屋に入りました」と振り返る。
男らに連れられて来たのは、ナンパ塾が東京都内に所有するマンションの一室。通称「ハウス」と呼ばれ、暴行事件の犯行現場となった。こうした部屋は東京のほか、大阪市内にもあったという。
女性は、男らに分からないように同行の友人と「帰ろう」と連絡を取り合い、帰る機会をうかがっていた。だが帰ろうとすると、男に「帰って何するの?」と執拗(しつよう)に引き留められ、無理やりゲームをさせられたという。女性がゲームで負けると、ウオッカなどアルコール濃度の強い酒を飲ませた。女性はいつしか酩酊(めいてい)状態に陥った。
「公判で分かったことですが、こういうセリフもRNAのマニュアルに載っていたのです」