証券大手5社の令和2年3月期連結決算が8日、出そろった。最終損益は黒字転換を果たした野村ホールディングス(HD)など3社が増益を確保した。新型コロナウイルスの感染拡大で、各社とも対面営業に制限がかかる中、コンサルティングの質を上げていくことが課題となっている。
野村HDの最終利益は2169億円(前期は1004億円の赤字)。コスト削減の取り組みが進んで法人部門の収益性が高まったほか、野村総合研究所株の売却益が貢献した。
第4四半期(1~3月)は4社が前四半期比で減収となった。コロナショックで投資家心理が急速に悪化したことが響いた。
政府の緊急事態宣言を受け、4月以降は各社とも電話やメールを使った営業活動を強化している。野村、大和ともに4月の収益は1~3月の平均から約2割減にとどまったという。
野村の北村巧財務統括責任者(CFO)は「お客さまが在宅しているケースも多く、連絡が取りやすくなった」と手応えを語った。
大和の佐藤英二CFOは「多くのお客さまは先行きに不安を抱え、専門家のアドバイスを求めている」と述べ、総合証券のサービスに対するニーズに変わりはないとの見方を示した。