将来の給与を担保に現金を提供し高額な手数料を要求する「給与ファクタリング」は違法な貸し付けで契約も無効だとして、利用者9人が13日、ファクタリング業者「ZERUTA」(東京)に計約430万円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。弁護団によると、給与ファクタリング業者に対する集団訴訟は全国で初めてという。
給与ファクタリングは「即日融資に代わる資金調達が可能」などとうたい、利用者の次の給与を「債権」として買い取る形で早急に現金を融通するサービス。貸金業法などで定める上限金利を超えた手数料を融通時に差し引いているが、業者は「貸金業ではない」として規制を無視している。金融庁は3月、貸金業に該当するとの見解を出し、注意喚起した。
訴状などによると、業者側は多重債務者らを対象に取引。3万8千円を融通した数日後に6万円を回収するなど実質年利は最大1400%以上に及び、原告側は「違法なヤミ金融と変わりない」と主張している。
会見した原告の50代男性は「一度手をつけると、自転車操業のようになってやめられなかった」と話した。弁護団は「新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくても、利用すれば破綻するので絶対に手を出さないでほしい」と訴えた。