コロナ影響で景況感悪化、先行きも不安 埼玉


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、埼玉県内の企業の景況感が悪化している。外出自粛要請などの影響で経済が停滞し、企業活動が大きく制約されているためだ。感染がいつ収束するかは見通しにくく、先行きも厳しいとの見方が大勢を占めている。

 県内の462社が回答した帝国データバンクの4月の景気動向調査によると、同県の景気指数(DI)は前月比8・0ポイント減の25・9と大幅に悪化した。前月比の悪化幅は平成14年5月の調査開始以来最大だった。

 DIが50を上回れば景況感が良く、下回れば悪いことを示す。製造や小売りなどの業界別でもDIは軒並み20、30台で、先行き見通しも3カ月後が23・6、半年後は26・2と低水準だった。

 帝国データバンク大宮支店の担当者は「企業からの声はコロナ一色。ほとんどマイナスの見解で占められた。大半はマイナス影響の長期化を懸念している」と話す。

 埼玉りそな産業経済振興財団が今年4月に実施した企業経営動向調査(回答企業220社)でも景気判断は大きく悪化した。

 調査では国内景気について「下降」と答えた企業が80%に達し、「上昇」はわずか2%だった。上昇と下降の割合の差の「BSI」はマイナス78で、リーマン・ショックの影響で景気が悪化した平成21年4月調査のマイナス86に迫った。

 感染拡大の影響について「大きな影響が出ている」と答えたのは「飲食店・宿泊業」で87・5%、「小売業」で38・9%に上った。

 約半年後についてのBSIはマイナス90となり、担当者は「企業は先行きがさらに厳しいとみている」としている。

 埼玉県内主要産業の動向調査「産業天気図」を公表しているぶぎん地域経済研究所は、201社から回答を得た調査の結果、今年1~3月期について「わずかながら晴れ間が見えるが、雨が広がる空模様」と評価した。「晴れ」は景気動向が良いととらえる企業が多く、「雨」は悪いと思う企業が多いことを指す。

 今後は「感染拡大による企業活動の影響懸念から、さらに雨が広がる見通し」で、卸売りなどの業界で影響が続く見込みという。

(中村智隆)



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