民放キー局の令和元年度決算が出そろった。新型コロナウイルスの影響は限定的だったが、次の2年度は企業活動自粛に伴う広告収入の減少などが予想される。5社のうち3社は、影響を見通せないことを理由に2年度の業績予想を現時点で「未定」としており、民放を取り巻く経営環境は厳しさを増している。
「感染拡大の影響で厳しい事業環境が予想されるが、その収束時期や影響の程度は、現時点では正確に見通すことができない」
フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は13日に発表した株主・投資家へのメッセージで、こう説明した。
各テレビ局単体の元年度の売上高は、日本テレビ=3072億円▽テレビ朝日=2264億円▽TBS=2103億円▽テレビ東京=1113億円▽フジテレビ=2555億円。テレビ広告が近年、減少傾向にあるなか、各局とも前年度から減少した。
各局は元年度については、新型コロナウイルスの影響はそれほど大きくないと分析。4月からの2年度に本格化するとみる。
影響の算定が難しいため、フジ・メディア・ホールディングス、日本テレビホールディングス、テレビ朝日ホールディングスが2年度の業績予想を現時点では「未定」とした。
2年度の業績予想を発表したTBSホールディングスとテレビ東京ホールディングスは、売上高減少を見込む。両社は決算短信で、「企業活動の自粛による広告出稿の低下などが第1四半期一杯まで続く」(TBSホールディングス)、「次期(令和3年3月期)の広告収入は少なくとも上半期はリーマンショック時並みに減少することを想定」(テレビ東京ホールディングス)とみており、見通しは明るくない。