中東で制限緩和の動き 特定産業への依存、経済打撃長期化も

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モスク(イスラム教礼拝所)の一部再開に向け内部を消毒する地元当局の職員=26日、トルコのイスタンブール(ロイター)

モスク(イスラム教礼拝所)の一部再開に向け内部を消毒する地元当局の職員=26日、トルコのイスタンブール(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】中東各国は今月末から6月にかけ、新型コロナウイルス感染への封じ込め策を一部で緩和する。感染拡大に歯止めはかかっていないが、観光客の激減や原油価格の急落を背景に経済状況の悪化が続き、苦渋の選択を迫られた形だ。観光や石油など特定の業種に依拠する脆弱(ぜいじゃく)な産業構造で、中東の経済混乱は長期化しそうだ。

■コロナ増税

 エジプトは30日から、夜間外出禁止令の開始時刻を3時間遅らせて午後8時からとし、外出禁止の時間幅を縮小する。個人消費の拡大をねらう。

 ただ、同国では28日に1日で新たな感染者が1127人増と過去最悪を更新した。ロイター通信は「現場の感染防止器具が足りない」と訴えた医師らが逮捕されたと報じ、医療現場の不満も伝えられている。

 同国では財政の柱である観光収入が激減。さらに世界的な景気低迷で海運需要が低迷し、スエズ運河の通行料で値下げを迫られている。

 対応策として、国際通貨基金(IMF)から今月、約28億ドル(約3千億円)の緊急融資を受けたほか、高額所得者から収入の1%を徴収することを決めた。

 サウジアラビアは付加価値税(VAT)の税率を5%から15%と3倍に引き上げる。国家予算の6割以上を占める石油関連の収入は原油価格急落で落ち込み、外貨準備高も目減りしている。年間800万人が訪れ、膨大なカネが落ちるイスラム教聖地の巡礼も、集団感染の警戒のため制限せざるを得ない状況だ。

■安全を「確約」

 観光大国トルコは「ヘルシー・ツーリズム」の認定制度を設け、観光業の復興を目指している。空港や国内交通機関、ホテルやレストランなどを対象に、感染防止や衛生の基準をクリアした業者に証明書を発行することで、外国人観光客の信頼を得る狙いがある。

 トルコは訪問観光客の数が世界6位、市場規模は年間350億ドルに達する。対外的に「安全な旅行先」をアピールしている。入国前に検査を行うよう求める観光業者もある。

 4月下旬から感染者数が減少しているトルコは5月末、アンカラやイスタンブールなど主要都市を結ぶ電車の運行を再開し、6月中の観光客受け入れを見据えた準備を進めている。

■バブルの懸念も

 イランでは今月中旬にあった感染の「第2波」がやや落ち着き、モスク(イスラム教礼拝所)や商業・文化施設への制限を緩和し始めた。モスクへの立ち入りは時間を制限して認め、スポーツ関連も無観客を条件に再開するとしている。

 イランは米国の制裁と新型コロナ感染でインフレと通貨安が深刻化、失業率も高止まりしている。そうした中で、国民の間で収入を得ようと株への投資がブームになった。

 英誌エコノミストによると、この2カ月間で代表的な株価指数が倍に跳ね上がる急騰ぶりで、バブル化した市場の下落を懸念した欧州の投資家が、イランの持ち株を売り始めた。

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