大規模災害の発生前に市区町村の外へ住民を避難させる「広域避難」の制度化へ向け、内閣府は1日、作業部会を開き、避難勧告発表の判断に国が関与する枠組みの検討を始めた。災害対策基本法の改正も視野に年内をめどに議論をまとめる。
作業部会では広域避難について、数十万人規模の住民に市区町村の外への避難を求めるケースと定義。災害発生前の切迫した状況では、受け入れ側の避難先自治体や、避難住民の輸送手段となる鉄道など交通事業者との調整に国の関与が不可欠と判断した。
そこで国が主導的に関わることができるよう態勢強化を検討。現行法では国は災害発生後にしか対策本部を設置できないため、発生前から設置できるよう災対法の改正を念頭に置く。
避難勧告・指示の発表主体を市区町村とする原則は維持しつつ、関係市区町村でつくる協議会などの判断に国が関わることができる枠組みを整える。
政府中央防災会議(会長・安倍晋三首相)は昨秋の台風災害の検証作業で、広域避難について議論を進めることを決定。内閣府で今夏をめどに議論をまとめる方針。