フジテレビ系ソーシャルディスタンスドラマ「世界は3で出来ている」(11日放送、後11・0)で一人三役を演じる林遣都(29)が、このほどインタビューに応じた。
ドラマの主演で、唯一の出演者である一卵性三つ子役の林。商事会社勤務で落ちこぼれのサラリーマン、望月勇人を演じるが、緊急事態宣言が解除されたある日、勇人を案じた兄・泰斗と弟・三雄がやってくる…そんなユニークな作品への思いを語る。
脚本は、今年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説「スカーレット」、日本テレビ「ホタルノヒカリ」などで知られる水橋文美江さん、監督は、同局「Dr.コトー診療所」「教場」などの中江功さん。林はまず、2人へのリスペクトを言葉にする。
「『スカーレット』『教場』でのお二人との出会いは自分の中での大きな出来事だった。水橋さんの描く人間をもっと演じたい、中江組をもっと経験したいという気持ちがあった。声をかけていただけてとてもうれしかったです」
現在、新しい試みでの撮影が行われている中で「自分が一人の俳優として何をやっていくのか」と考える。撮影はソーシャルディスタンス、スタッフの人数制限など守るべきことは多くあるが、「やっていることは今までと変わらず、スタジオにセットを組んでいただいて、改めて役者って一人じゃ何もできないんだなと思いました」と語る。
脚本については「水橋さんの見てきたものや人生観、世界観、笑いのセンス、すべてが好き。しかも今回は“三人”も書いていただいて。水橋さんの台本ってすごく“余白”があると感じる。今回だと、三人が子供の頃にお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話、お母さんのこと、そして役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて、演じる側がそれを想像してイメージを膨らませる。かなりハードルの高い台本で難解だが、演じがいがあります」と熱い口調だ。
一人三役という設定については「一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸においた。かけ合いや空気感で、そこにいる三人が何となく、だんだんと、気がついたら別人に見えていたらいいな」と。
中江監督から「林さん以外のキャスティングは考えていなかった」とコメントされたが、うれしさとともにプレッシャーも覚えたという林は「監督は“さあ、どう演じるの?”っていう感じで、どれだけ大変な状況でも俳優力が試されているというか…。『教場』のときに印象的だったのは、大勢のキャストやスタッフの方々がいたけど、誰に対しても分け隔てなく愛情を持って接してくださる。とにかく人柄がすてきなので、今回マンツーマンで演出していただけるというのは今後の自分の財産になると思うし、大きな作品になりました」とさらに感謝する。
最後に視聴者へのメッセージとして「挑戦的な試みをしているドラマ。現場も試行錯誤で苦労しながらやっていた。僕自身も(放送を見るまでは)どんな映像作品に仕上がっているのか想像できないが、改めて“テレビドラマっていいな”と感じていただけたら。いくらでも想像が膨らむ作品になっているので、演じさせていただいてこんなに幸せなことはありませんでした」と満足そうな笑みを浮かべながらしめくくった。
(産経デジタル)