高市早苗総理(64)の国会答弁がきっかけで生じた日中対立の長期化が懸念されている。だが、国内での“高市人気”は継続中で、報道各社の調査によれば、政権支持率は高水準を維持。総理に批判的とみられる野党議員のもとには、大量の迷惑メールが殺到する“異常事態”も発生している。それでも、自民党の重要閣僚経験者は「また何が起こるかわからない。支持率が高いうちに早期解散を仕掛けるべきだ」と焦りを募らせている。
日中対立の長期化が懸念されるなか、高市人気はとどまることを知らず
「これまで、安全保障分野への関わりが薄かった人だからああいう答弁が出たのだろう。『手の内を明かすことになり、仮定の話には答えられない』で済ませればよかったのに……」
“台湾有事”を巡る総理答弁について、こう振り返るのは防衛族でもある、自民党の重要閣僚経験者だ。
これまで高市総理は総務相や経済安保相といった要職を歴任してきた。とはいえ、防衛省や外交省といった“安全保障ど真ん中”の省庁における政務三役経験はないのも事実だ。そうした経験不足からくる一言が、深刻な日中対立を招いている。
「きっかけは11月7日の衆院予算委員会における、立憲民主党の岡田克也元外相(72)の台湾有事を巡る質問でした。密接な関係の他国が攻撃を受け、日本の存立が危ぶまれる『存立危機事態』であれば、自衛隊が集団的自衛権を行使できるとされています。
ただ、歴代政権は、台湾有事と存立危機事態の関係について、明確な答弁を避けてきた。中国を不用意に刺激しないためです」(全国紙政治部記者)
しかし、高市総理は「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースであると私は考えます」と答弁。この発言を、台湾有事が日本にとっての「存立危機事態」となりうるという意味だと受け止めも浮上した。
「中国は、総理答弁の撤回を要求し、日本の水産物の事実上の輸入停止措置を繰り出すなど激しく反発している。高市総理もここまでのハレーションを想定していなかったのか、『つい言い過ぎた』と周囲に漏らし、後日、『特定のケースを想定したことについて、この場(=衆院予算委員会)で明言することは慎もうと思っている』と反省も述べた。
とはいえ、中国の圧力に屈して、発言の撤回に応じるわけにもいきません。対立の長期化が懸念されます」(同前)
自民党幹部の一人は筆者の取材に対して、「これから外交はどうなるんだろうという危うさがある」と打ち明け、日中関係の「落とし所の難しさ」を指摘する。
それでも、毎日新聞が11月22日、23日の両日に行なった世論調査によれば、高市政権の支持率は前回調査と同じ65%を維持。台湾有事を巡る発言が“高市人気”に影を落としてはいない。
むしろ、ネット上では、高市総理を追及する野党議員への批判が目立つという指摘もある。国会審議への影響を懸念する声も出ている。
「野党も、飛び上がっているよ。少しでも批判的なことを言うと、『つまらない質問はやめろ』などと、嫌がらせの電話やメールが事務所にきて、仕事になんないと。参院予算委員会では、答弁時間を含めないかたちで質疑時間を割り当てる『片道方式』がとられており、衆院の約2.5 倍の所用時間となるのが通例。しかし、“高市効果”もあり、野党が批判を恐れている面もあるのか、臨時国会ではそれが機能せず、いつもより短い時間で終わってしまった。ちょっと異常な状況だ」(自民党ベテラン参院議員)
実際、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は11月19日に自身のXに、〈私の事務所は(迷惑メールが)5000通余。辻元事務所は2万通にものぼっています。業務に重大な支障が出ている事や、こうした組織的な大量メールは国会でも初めてと見られる〉と投稿した。こうした“嫌がらせ行為”は、国会審議に影響を与えかねず、重大な問題といえる。






