東京・赤坂で発生した殺人未遂事件で、陸上自衛官の大津陽一郎容疑者（43）が11月22日未明、警視庁捜査一課に逮捕されました。この事件は11月16日早朝に発生し、ライブハウス前で40代の女性が腹部を刺され重傷を負ったものです。大津容疑者は、被害者の女性との間に「妻子がいることを隠して交際していたが、今年6月に別れを切り出された」と供述しており、交際トラブルが犯行の動機と見られています。
事件の経緯と犯行内容
事件は11月16日の日曜日の早朝6時に発生しました。大津容疑者は、妻に「職場に行く」と告げ、私服で自転車に乗り朝霞駐屯地へ。約30分後には黒いマスクと青い上着に着替え、駐屯地を出て都心へ向かいました。途中、白いマスクと黒い上着に再度着替え、港区赤坂のライブハウスに到着。公演のポスターに黒いスプレーで「バツ印」をつけた約50分後、犯行に及びました。
被害者はアマチュア歌手のA子さんで、事件現場となったライブハウスで同日昼に公演を予定していました。大津容疑者は店が開くのを待っていたA子さんを発見し、彼女の左腹部を刺しました。傷は深く腎臓にまで達し、一時は命も危ぶまれるほどの重体でした。
赤坂殺人未遂事件で逮捕された陸上自衛官・大津陽一郎容疑者
逮捕と捜査の進展
犯行後、大津容疑者は再び黒いマスクと青い上着に着替え、靴も履き替えるという徹底ぶりで、朝霞駐屯地に戻ったと見られています。事件発生から犯人逃走中のまま6日が経過しましたが、翌日からも平然と勤務を続けていたことが確認されています。しかし、街中の防犯カメラを丹念に確認する「リレー捜査」により、大津容疑者の関与が浮上し、逮捕に至りました。
大津容疑者の背景と供述
茨城県北部出身の大津容疑者は、父親が県職員、母親が教員という公務員家庭の3人兄弟の長男として育ちました。登記簿によると、父親は少なくとも1万平方メートル以上の広大な土地を所有しており、敷地内には家や畑、先祖代々の墓地もあるといいます。特に不自由なく育った大津容疑者の学生時代の知人からは、「お調子者の写真を爪で引っかいたり、ポスターにバツ印をつけたりすることがあった」という証言も出ており、今回のポスターへの「バツ印」と類似した行動が過去にも見られたようです。
大津容疑者の逮捕前の任意聴取での供述から、被害者A子さんとの間の交際トラブルが事件の背景にある可能性が高いとされています。妻子がいる事実を隠してA子さんと交際していたものの、今年6月に別れを切り出されたことが事件につながったと見られています。
この事件は、自衛官という立場にある人物が起こしたこと、そして個人的な交際トラブルが発端とみられる点で、社会に大きな衝撃を与えています。
