BUMP OF CHICKEN、藤井 風、Mrs. GREEN APPLE…「生」の歌声が響くスタジオ映像の魅力

近年、日本の人気アーティストたちが公式SNSアカウントやYouTubeチャンネルを通じて、楽曲のレコーディング風景やリハーサル映像を公開する機会が増えています。これらの映像は、普段なかなか見ることのできないアーティストたちの“裸の歌声”に触れることができ、ファンに特別な感動と高揚感をもたらしています。彼らがスタジオで放つ生々しい熱量と、音源とは異なる自然体のパフォーマンスは、楽曲の新たな魅力を引き出し、多くの注目を集めています。

BUMP OF CHICKEN: 「I」のリハーサル映像が示すバンドの息吹

先月配信リリースされたBUMP OF CHICKENの新曲「I」は、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』のエンディングテーマとして書き下ろされました。この楽曲のスタジオリハーサル映像の一部が公式SNSアカウントで公開され、大きな反響を呼んでいます。以前には藤原基央(Vo/Gt)と増川弘明(Gt)によるイントロのギターフレーズ動画も公開されていましたが、今回の映像は増川のギター演奏に乗せて藤原がサビを歌い上げる内容です。増川がコードを鳴らした後、二人が息を合わせるように藤原が力強い歌唱を加えていきます。彼の歌声は空気を揺らすようで、シンプルな空間だからこそ、言葉の粒立ちの美しさが際立っています。スタジオならではのラフな雰囲気は特別感があり、音源ともライブとも異なる生々しい熱量に満ちたパフォーマンスは、ファンの心を捉えて離しません。

藤井 風: 「真っ白」コーラス映像に見る自由な表現

藤井 風もまた、過去に「真っ白」のスタジオ映像をYouTubeショート動画で公開し、話題となりました。行われていたのはメインボーカルではなく、コーラスのレコーディング。藤井は体を揺らしながら、リラックスした様子でサビのハモリやラストのフェイクを入れていきます。その姿はとても自由で開放的であり、彼が心からレコーディングを楽しんでいることが感じられます。穏やかな雰囲気は歌声にも表れていて、伸びやかで非常に心地よい響きは、エフェクトや調整がかかっていないスタジオ歌唱だからこそダイレクトに伝わってきます。この生の歌声を通して、藤井 風というアーティストの根底にある表現の楽しさが、より真っ直ぐに届けられました。

マイクに向かって歌うMrs. GREEN APPLEの大森元貴マイクに向かって歌うMrs. GREEN APPLEの大森元貴

Mrs. GREEN APPLE: 大森元貴が示すボーカリストとしての力量

Mrs. GREEN APPLEも、公式YouTubeチャンネルで定期的にレコーディングの舞台裏を公開しています。たとえば、今年8月には直前にリリースされた「夏の影」のビハインド映像が公開されました。アカペラ歌唱だけが響くボーカルレコーディング映像からは、ボーカリストとしての力量が如実に伝わってきます。大森元貴のレコーディング風景からは、ピッチの正確さはもちろん、言葉の一つひとつに感情をしっかりと乗せているのがよく分かります。特に、音源ではサウンドも盛り上がりを見せる「過ごしていた/あの夏の思い出は/今でも瞼の裏で生きてる」の部分のレコーディングは、彼の歌声だけを聴いても切ない夏の情景が鮮明に思い浮かぶほどです。

10月に公開された「GOOD DAY」のビハインド映像でも、軽快なこの曲を試行錯誤しながら歌い上げていく大森の姿が見られます。「夏の影」とはまた違い、エネルギーをぶつけるようなハツラツとした歌声からは、彼の熱量がひしひしと伝わってきます。「夏の影」にしても「GOOD DAY」にしても、生の歌声だからこそ、彼の表現力の豊かさが際立っていることが改めて証明されました。

「裸の歌声」がもたらす特別な高揚感

このように、スタジオで響くアーティストの“裸の歌声”を垣間見ることができる映像は、ファンにとって特別な体験となります。普段はなかなか見られない制作の裏側に触れる楽しさはもちろんのこと、彼らの歌声が放つ生々しい熱量を直接感じられることで、これまでにない高揚感がもたらされます。音源では味わえない、アーティスト本来の魅力や感情がダイレクトに伝わるこれらのスタジオ映像は、今後も日本の音楽シーンにおいて重要なコンテンツであり続けるでしょう。

参考文献