【ワシントン=塩原永久】11日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は暴落し、前日比1861・82ドル安の2万5128・17ドルで取引を終えた。下げ幅は史上4番目を記録。新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」への懸念に加え、米景気低迷が長期化することへの警戒感が強まり、売りが殺到した。
ダウ平均の下落率は6・9%に達した。ハイテク株主体のナスダック総合指数も527・62ポイント安の9492・73と大きく下げ、5・3%の下落率だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が10日、経済活動の復調まで「長い道のり」があると言及。FRBが2022年末まで事実上のゼロ金利政策を継続する予測を公表したことで、米景気回復を期待した投資家の見通しが修正を迫られた。
市場はリスク回避の姿勢を強めており、金や国債などの安全資産に資金が流入している。米長期金利の指標となる10年債の利回りは0・6%台まで下落(債券価格は上昇)した。
銘柄別では、ゼロ金利の長期化で収益が圧迫される不安が生じた金融機関が大きく下落。航空機ボーイングも大幅に値を下げた。原油先物相場の下落でエクソン・モービルも下げが目立った。
ダウ平均下げ幅の1~3位はいずれも米国で新型コロナ感染が拡大し始めた3月に記録した。4月下旬以降、全米で段階的に経済活動が再開されているが、テキサス州などの南部を中心に感染者が増加している。経済活動を停滞させる外出・営業制限が再び実施されかねず、景気の先行きへの警戒感が強まっている。