【主張】2次補正成立 巨額予備費を適切に使え


 新型コロナウイルス対策を盛り込んだ令和2年度第2次補正予算が成立した。歳出総額は31兆円を超える。民間投資などを含む事業規模は117兆円という巨額さだ。

 100年に1度の世界的危機である。緊急事態宣言が解除されたといっても経済活動が本格化しているわけではなく、今も多くの企業や個人事業者などが苦境の渦中にいる。

 支援が間に合わなくては2次補正の意味をなさない。まずは迅速な執行に万全を期すべきだ。支給の遅れが目立った1次補正と同じ轍(てつ)を踏んではならない。

 2次補正には企業の資金繰り支援や財務基盤の強化策、家賃負担の支援などが盛り込まれた。事業継続への不安を払拭し、雇用と暮らしを守らなくてはならない。

 第2波への備えも重要だ。11日の米株式市場では第2波への警戒から株価が暴落し、東京市場を含めて株安が連鎖した。第2波以降の悪影響が、いつ、どれほど深刻な形で表れるかは見通せない。

 このため、従来と比べてけた違いに大きな10兆円の予備費を積んだ。国会審議を経ずに使える予備費の巨額さについては財政民主主義に反するとの批判もあるが、今は例のない危機である。

 本格的な経済対策を盛り込んだ1次補正の成立が4月末だったことを忘れてはならない。時期的に極めて遅く、その内容も不十分だった。この反省に立ち、第2波が起こったときには直ちに予備費をつぎ込み、手厚く支援することを躊躇(ちゅうちょ)してはならない。

 政府は野党の批判を受けて、予備費のうち5兆円については雇用維持や生活支援、事業継続、医療体制の強化に使うという内訳を示した。本来、予備費は不測の事態に備えるもので、あらかじめ使途を示すのは異例である。

 注意したいのは、内訳にこだわるあまり、使い方に柔軟性が欠けることだ。どこに重点配分するかを臨機応変に判断することが大切である。無論、必要がないのに無理に消化する愚も避けたい。

 国会では持続化給付金などの事業委託をめぐる不明朗な実態も追及された。透明性の確保と国民への丁寧な説明は事業の大前提である。2度の補正を合わせた今年度の新規国債発行額は90兆円を超える。財政再建を棚上げにしてまで巨費を投じる重みを踏まえ、適切な執行に徹してもらいたい。



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