自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=の陣営による公選法違反事件で、議員らに現金を配布した買収疑惑について、検察当局が案里氏と夫で前法相の克行衆院議員(57)=自民、広島3区=の捜査主体を東京地検に移送して立件する方針を固めたことが16日、関係者への取材で分かった。広島地検内で保管されていた証拠資料などを東京地検特捜部が改めて精査するなどし、国会閉会後の18日以降の夫妻への強制捜査に向け、最終調整を進めているもようだ。
また、夫妻が離党の意向を関係者に伝えていたことが16日、分かった。17日にも離党届を提出する方針。
案里氏陣営をめぐっては、車上運動員に法定上限を超える報酬を支払った違法報酬事件に加えて、夫妻がそれぞれ広島県内の首長や議員、元陣営スタッフらに現金を手渡すなどした買収疑惑も浮上し、広島地検が捜査していた。
関係者によると、現金は約100人に配られた疑いがあり、1人当たりの受領額は数万円~100万円近くと幅がある。検察側が押収した資料には配布総額が2千万円超になることを示すものもあるという。
最高検は、現職の国会議員の捜査には昨年12月以降、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で現職国会議員を17年ぶりに収賄罪で逮捕、起訴するなどした東京地検特捜部の政界捜査の経験などが必要と判断したとみられる。
すでに特捜部の検事も広島へ応援に入って重要な参考人の取り調べなどを担当しており、オール検察で捜査を進めていた。