国会議員夫妻をめぐる疑惑が重大局面に発展した。昨年7月の参院選に絡み検察当局は18日にも公選法違反(買収)容疑で河井案里参院議員(46)と夫で前法相の克行衆院議員(57)を逮捕する方針を固めた。「事実なら責任を」「裏切られた」。地元関係者からは戸惑いや怒りが噴出した。
18日午前、広島県議会。この日は臨時議会の閉会日で、現金受領が取り沙汰された県議らも議会棟に姿を見せた。
受領したとされるベテラン県議は取材に「議長が対応します」と述べ、足早に立ち去った。別の県議は、検察当局による任意聴取を認めながら、「これ以上は検事に話すなといわれている」。さらに別の県議は「ニュースを見ていない」とだけ話した。
疑惑の大きな節目に、地元支援者は複雑な反応を見せる。
「選挙時は夫妻を応援してきた。とても残念だ」。17日夜、同県安芸太田町にある克行氏後援会の藤本忠則会長は肩を落とした。夫妻は事件について、捜査中を理由に具体的な言及を避け続けている。「本人たちから説明がほしかった。もはや司法の場で真相を解明してもらうしかない」(藤本会長)
案里氏陣営関係者の男性(81)は「事実なら責任を取るしかない。国政で活躍してほしかったが、(政治家として)復帰は難しいだろう」との見方を示した。案里氏陣営の元スタッフは「買収が本当なら、早く議員バッジを外すべきだ」と突き放した。
インターネット上では、広島県議時代の案里氏が当時の県知事に対し、後援会元幹部の政治資金規正法違反事件に絡んで「男らしくなさい」と責め立て、辞職を迫る動画が話題に上る。
「非常に勉強熱心で、清潔で良い印象がある方。お金なんか配らなくても当選したはずなのに…」。同じ宮崎県出身として案里氏を応援してきた広島宮崎県人会の河野次郎会長(84)は無念さをにじませ、「(逮捕後は)誠意を持って本当のことを話してほしい」と望んだ。
地元有権者からは一様に厳しい声が上がる。
「裏切られたような気持ち。政治家としてきちんと責任を取るべきだ」。前回衆院選で克行氏に投票したという広島市安佐南区の男性会社員(29)は夫妻への憤りをあらわにし、「真相は何なのか明らかにしてほしい」と捜査の行方に期待した。
広島県坂町の無職女性(61)は「離党だけで済むのか。議員辞職しないのか」と投げかけ、「このままでいいはずはない。怒りを覚える」と語気を強めた。