アニメーション映画「泣きたい私は猫をかぶる」(佐藤順一、柴山智隆監督)のインターネット配信が、米動画配信サービスで始まった。ファンタジーを交え、中学生の多感な青春を描く。本来、映画館で上映するはずだった。主人公の声を演じる女優の志田未来(しだ・みらい)(27)に、オンライン会議システムで話を聞いた。(石井健)
今月5日から映画館で上映の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で公開の見通しが立たず、ネットフリックスでの配信に切り替えた。18日から、28言語で配信している。
「予定通り6月に皆さんにお届けできて、すごくうれしいです」
パソコン越しの志田の声には安堵(あんど)の色がにじむ。
「映画は、見ていただいて初めて完成するものですから」
志田は主人公の中学2年生、笹木美代の声を演じた。奔放すぎるほど活発な美代は級友から「ムゲ(無限大謎人間)」と呼ばれるが、父親の再婚問題など自分を抑えているところがある。そして、ムゲはある秘密を抱えていた。
ムゲが思いを寄せる級友の日之出賢人の声は、人気声優の花江夏樹(28)。リハーサルで花江は、ムゲ以外の全人物を一人で演じて志田を驚かせた。
志田は、ムゲと同じ年頃の感情を思い返して演じたという。「懸命にもがいていました」。連続ドラマ初主演の大役を果たした頃だろうか。ムゲの複雑な心情も、スッと自分の中に入ってきたという。
6歳で芝居を始め、声の演技もスタジオジブリ「借りぐらしのアリエッティ」のアリエッティ役や「風立ちぬ」などで経験済みだ。
「それでも、毎回苦労しています。キャラクターを一から作るのが映像のお芝居。すでにある絵に魂を吹き込むのがアニメのお芝居。別物ですね」
ムゲが父親に感情を爆発させてしまう場面は手間取った。感情に従った芝居をすると、セリフを動画に合わせられない。結局、動画を見ないで芝居だけをし、セリフは後から編集で動画に当てはめた。