【ワシントン=塩原永久】米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は17日の議会証言で、「日本との『第2段階』の貿易交渉が数カ月内に始まると思う」と述べた。限定的な分野を対象とした日米貿易協定が今年1月に発効。残された分野を含む第2段階の交渉は、新型コロナウイルス感染症の流行で開始が遅れたと説明し、協議再開を急ぎたい意向を示した。
日米協定では、日本が農業市場を開放する一方、米国は一部の工業製品の関税を引き下げた。協定上は、発効から4カ月以内に「第2段階」交渉の予備協議を終えるとしていた。
ライトハイザー氏は下院歳入委員会で、対日協定が牛肉の輸出拡大につながり「大変満足している」と話した。一方で「いくらか残された品目がある」とも言及し、包括的な協定の締結も視野に、交渉を再開させる考えをにじませた。
感染を防ぐ渡航制限などの影響で、交渉再開に向けた準備が「減速した」が、対日交渉は引き続き「優先事項だ」としている。
一方、ライトハイザー氏は、2月に発効した中国との「第1段階」貿易協定をめぐり、中国側が約束した米国産品の巨額購入を「再確認した」と述べた。
中国は米国からの輸入額を2年で2千億ドル(約21兆4千億円)増やすことで合意したが、コロナ禍で両国の経済が停滞し、合意達成は困難だとの見方が強い。ライトハイザー氏は中国当局者が「約束を守る」方針を維持していると重ねて強調した。