新型コロナウイルス対策のために休業し経営が悪化したミニシアターを支援する資金を集めようと、インディーズ(独立系)映画の製作者が、劇場での上映と並行して有料配信を始める。海外向けに英語字幕版も用意。配信の収益で劇場を支援する。関係者は「日本の映画文化の多様性を守るためにもミニシアターは必要」と作品観賞による協力を呼びかけている。(粂博之)
大阪・十三にある「シアターセブン」で13日、インディーズ作品「アマノジャク・思春期」(岡倉光輝監督)の先行上映会が開かれた。ウイルス感染予防のため、客席は3分の1ほどの19席に抑え、上映後のトークイベントはスクリーンとテレビ会議システムを利用した。
同作品の主人公は、大人になってからの手術でしか治せない受け口といじめに悩み発達障害も抱える少年。子供の純粋さと残酷な側面を描く。監督の実体験に基づいた約30分の短編作品で、平成29年から30年にかけてカナザワ映画祭、福岡インディペンデント映画祭などで賞を受けている。
「人との関係性について考えさせられる映画」と、この日のイベントでプロデューサーの理沙さん(30)は説明した。「この映画をいろんな人に届けたい。そうしないと作品は完成しないから」
同館では7月4日から2週間上映。同25日からはシネマ・ジャック&ベティ(横浜市中区)、8月以降に京都みなみ会館(京都市南区)、10月5日からシネマスコーレ(名古屋市中村区)でもそれぞれ上映する。さらに各地のミニシアターと交渉を進めている。