韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長(53)は24日、世界貿易機関(WTO)の次期事務局長選に立候補を表明した。日本政府による半導体材料の輸出管理厳格化をめぐり、日韓がWTOで争う中での立候補で、波紋を広げそうだ。
兪氏は記者会見で「WTO事務局長は特定の訴訟で特定国家を代弁するものではない」と述べ、自身の出馬が日本との通商紛争に影響を及ぼす可能性について否定的な見解を示した。ただ、「WTOの国際協調体制の復元・強化は韓国経済や国益に重要だ」とも語っている。
兪氏は昨年7月に日本による輸出管理厳格化措置が発動されて以来、対応に関与しており、「WTOなどの国際規範に合致しない」と日本を批判し、措置撤回を求め続けてきた。韓国政府は今月、輸出管理厳格化を「不当」とし、WTOでの紛争解決手続きを再開したばかりだ。
兪氏は8月末の辞任を表明したアゼベド事務局長の後任を狙う。韓国からのWTO事務局長選への出馬は3回目。兪氏は女性で、選出されれば韓国人としては初の事務局長誕生となる。
WTO事務局には23日までに、兪氏やナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相ら数人が候補者として届け出た。欧州連合(EU)のホーガン欧州委員も出馬が取り沙汰されている。(ソウル 名村隆寛、ロンドン 板東和正)