積丹町「熊問題」副議長パワハラ発言で住民安全に懸念、問われる地方議員の責任

10月29日、元宝塚歌劇団の女優・毬谷友子氏が自身のX(旧Twitter)を更新し、とあるネットニュースを引用しながら北海道積丹町の「熊トラブル」に言及。「最低の副議長だ。」と手厳しいコメントをポストした。彼女が「最低」と断じたのは、同町の町議会副議長を務める70代の男性議員の言動である。この一連の騒動は、住民の安全に関わる深刻な問題として、現在も波紋を広げている。

発端は積丹町の「クマ捕獲トラブル」

この問題の発端は、10月22日にHTB北海道ニュースが報じた、積丹町で発生したクマ出没を巡るトラブルだ。9月27日、町内に設置された箱罠に体重284キロの大型のヒグマが捕獲された。その連絡を受け現場に駆けつけた地元の猟友会のハンターが、現場に居合わせた町議会議員に対し、安全確保のため注意を促したという。しかし、この注意に対し議員が激昂。「やめさせてやる」などと高圧的な態度を取ったと報じられた。当初、この町議はHTBの取材に対し、「『やめさせてやる』とは言っていない。一町議がそんな力を持っているわけがない。」と発言を否定していた。

副議長の「権力濫用発言」が明らかに

しかし、事態は28日の続報でさらに詳細が明らかになる。問題の議員は、9人で構成される積丹町町議会の副議長を務める70代の男性だった。情報筋によると、町内でも知られた存在と自負している副議長は、ハンターから「誰ですか?」と問われたことに不機嫌になり、「誰にモノを言ってるか」と応じたという。さらに注意を受けたことでトラブルに発展したとされている。

当時の関係者の証言からは、副議長によるさらなる問題発言が明るみに出た。「こんなに人数が必要なのか。金貰えるからだろ。俺にそんなことするなら駆除もさせないようにするし、議会で予算も減らすからな。辞めさせてやる」。これは、猟友会とハンターの活動を侮辱し、自身の権力を背景に「脅し」とも取れる「パワハラ」発言に他ならない。町議会副議長という立場を利用した、公僕としての職務に反する行為だと指摘されている。

猟友会「出動拒否」と情報隠蔽の深刻な影響

この副議長の発言に対し、一部のハンターが強い拒否反応を示し、猟友会は町からの出動要請を断ることを決定。現在に至るまで、このトラブルは解決に至っていないという。さらに深刻な問題は、HTBが一報を伝えるまでの約1ヶ月間、この事態が町民のみならず、議会にも情報共有されていなかったことだ。つまり、町が事態の報告を怠っていたことになる。

この間、もし町民がクマの出没を町に報告しても、猟友会が動かない可能性があった。万が一、人命に関わる被害が発生していたらと考えると、その結果は想像に難くない。個人のプライドが傷つけられたという理由で、町と住民を危険に晒した行為は、まさに議員による「人災」と言えるだろう。本来、住民の安全確保は地方議員の最も重要な責務の一つであるにもかかわらず、その責務が果たされない状況が約1ヶ月も続いていたことは、極めて重大な問題である。

北海道積丹町の町議会を象徴するイメージ写真。町議会副議長による熊捕獲時のトラブル発言が住民の安全に影を落とす。北海道積丹町の町議会を象徴するイメージ写真。町議会副議長による熊捕獲時のトラブル発言が住民の安全に影を落とす。

SNSでの広がる批判と住民の不安

一連のトラブルが報じられると、SNS上では副議長の責任を問う多数の声が上がった。
「積丹町で熊に人が襲われて、特に子供が危険な目にあったら例の副議長はどうやって責任取るんだろうか?」
「小さなコミュニティの権力者にありがちな勘違い発言 そして困るのは自分なんだから素直に謝れよ」
「これが本当なら、パワハラやし猟友会が出動しないのも納得。言い方悪いけど、議員は命かけてないよね?」
これらのコメントは、住民が抱く不安と、公務に携わる者への厳しい視線を明確に示している。

全国各地でクマ被害が拡大し、人命を脅かしかねない事態が頻発している中、地域の代表者である議員には、自身の感情や立場よりも、住民の安全を最優先に考え、常に冷静かつ責任ある行動が求められる。積丹町における今回の騒動は、地方議会と公僕のあり方、そして住民の信頼という極めて重要なテーマを改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。町議会、そして町全体として、この問題をどのように解決し、住民の安全と信頼を取り戻すのか、今後の対応が注目される。

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