昨年7月の参院選広島選挙区をめぐり、地元議員らに多額の現金を配ったとして、前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)=広島3区=と、妻で参院議員、案里容疑者(46)=広島選挙区=が東京地検特捜部に逮捕された公選法違反事件で、広島県三原市の天満(てんま)祥典市長(73)は25日、市役所で記者会見を開き、克行容疑者から現金計150万円を受け取ったことを認めて辞職を表明した。これまで受領を否定してきた理由については「2人の秘密を守り通そうと思った」と述べた。
また、天満市長が参院選を翌月に控えた昨年6月、克行容疑者から広島市内の鉄板焼き店で現金を受け取ったとみられることも、関係者への取材で判明した。この日の会見では、克行容疑者から現金を差し出された際に「何回も固辞したが、国会議員の先生を信用していたので受け取った」と説明した。
関係者によると、天満市長は昨年3月下旬、広島県福山市に本社を置く情報通信会社の三原営業所(三原市)で50万円を、同年6月上旬には、広島市内のホテルにある鉄板焼き店で100万円をそれぞれ克行容疑者から受け取った疑いがある。
陣営関係者によると、克行容疑者は三原市生まれで、天満市長は熱心な支持者だったという。50万円の受け渡し場所とみられる情報通信会社は、産経新聞の取材に「天満市長を支援してきた。天満市長は三原営業所の鍵も持っているが、その時期に出入りしたかは把握していない」と答えた。
また、鉄板焼き店のあるホテルの広報担当者は「お客さまの個人情報はお答えできない」と話した。
克行容疑者ら夫妻は昨年3~8月、参院選で案里容疑者の票の取りまとめを依頼するなどし、報酬として計約2570万円を地元議員や後援会関係者ら94人に渡した疑いが持たれている。