【ロンドン=板東和正】第5世代(5G)移動通信システムから中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除する方針を決めた英政府にとって、今後は華為に変わる調達先の開拓が重要な課題となる。7年間の猶予期間を使って、高い通信技術を持つ日本などとの国際連携を進めながら対応を急ぐが、国内ではより早期の「脱華為」を求める声も出ている。
英政府は2021年以降、華為からの製品の購入を禁じ、27年までに全ての同社製品を5G通信網から排除する。英国は過去約15年間にわたって華為製品を採用しており、「華為の代わりを見つけることは容易ではない」(通信技術の英専門家)が、猶予期間のうちに華為の代わりとなる5G技術を持つ企業を探す考えとみられる。
英メディアによると、新たな調達先探しは国際連携をとりながら進められるもようだ。英語圏5カ国で構成する機密情報の共有枠組み「ファイブアイズ」や先進7カ国(G7)にオーストラリア、韓国、インドを加えた民主国家10カ国「D10」の枠組みでの協力が模索されている。日本企業との連携も視野に入れ、NECとも協議しているという。ダウデン英デジタル・文化・メディア・スポーツ相は「(代替調達先の確保は)英国の単独行動で実現できない」と述べた。
また7年間の猶予期間には、早急な排除に反対する国内の通信企業の意見を尊重する意味合いもあるようだ。英通信最大手ブリティッシュ・テレコム(BT)のジャンセン最高経営責任者(CEO)は13日、英メディアに「華為製品の排除を急激に進めれば、通信障害が起きる恐れがある」と警告し、「理想的には、すべて排除するために7年間欲しい」と話していた。
ただ、中国依存からの早期脱却を訴える英与党・保守党の議員の間からは7年間の期間を設けた英政府の方針への批判も出ている。
同党のボブ・シーリー下院議員は13日の議会で「華為との長い、ゆっくりとした別れのようだ」と猶予期間の長さを皮肉った。そのうえで、「安全保障上、リスクの高い企業の技術をわれわれの重要なインフラに導入しておくべきではない」と早期の排除を訴えている。