キヤノンは28日、令和2年12月期の連結業績見通しについて、本業のもうけを示す営業利益が前年比74・2%減の450億円になると発表した。売上高は14・3%減の3兆800億円を見込む。新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引き、オフィスなどで使われる複合機などの需要回復に時間がかかるとみている。
足元の4~6月期は営業損益が177億円の赤字(前年同期は431億円の黒字)、最終損益も88億円の赤字(同345億円の黒字)となった。4半期で営業、最終損益が赤字となったのは平成13年4月に開示を始めて以来初という。業績悪化により、6月末の配当は昭和62年以来、33年ぶりに減らす。
田中稔三副社長は電話による記者会見で「新型コロナによる想定外の事業悪化を踏まえ、150億円規模の追加の構造改革を実施する」と述べた。
業績見通しは今年1月にいったん発表されたが、新型コロナ感染拡大を踏まえ4月に撤回していた。
今回の新たな見通しを部門別でみると、複合機などオフィス事業は印刷需要が回復してきているものの、勤務状態の安定まで時間を要することから18・8%の減収を見込む。
イメージング事業はテレワーク需要で家庭用インクジェットプリンターが増収となる一方、レンズ交換式カメラの販売台数が4割減になるとみて、全体で20・3%の減収となる見通しだ。医療事業は新型コロナで医療体制の充実が図られることを受け0・7%の増収を想定している。
同日発表の2年6月中間連結決算の売上高は前年同期比17・8%減の1兆4556億円、営業利益が81・9%減の151億円、最終利益は80・1%減の130億円だった。