広島への原爆投下直後に放射性物質を含んだ「黒い雨」を浴びたのに、国の援護対象区域外だったことを理由に被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、広島県内の男女や遺族計84人が市と県に処分取り消しを求めた訴訟で、広島地裁(高島義行裁判長)は29日、原告全員の請求を認める判決を言い渡した。黒い雨の被害範囲や状況をめぐる初の司法判断。
主な争点は、国が大雨が降ったと推定し援護対象とした「特例区域」の範囲の当否や、原告らが黒い雨により健康被害が出る程度の被爆をしたかどうか。
訴状によると、被爆被害を訴える原告は70~90代で、昭和20年8月6日の原爆投下後、特例区域外で黒い雨を浴びたり、汚染された水や作物を摂取して内部被爆したりし、がんや白内障など放射線の影響による疾病を発症した。