ミネルヴァ、3年前から預かり金流用か 「依頼者は底つき」過払い金ビジネス終焉





記者会見する東京ミネルヴァ法律事務所破産被害対策全国弁護団の弁護士。新里宏二弁護団長はウェブ会議システムを通じて発言した=31日、東京・霞が関の司法記者クラブ(チラシ中の一部の情報をモザイク加工しています)

 51億円の負債を抱えて破産した「東京ミネルヴァ法律事務所」(東京都港区)が、依頼者から預かった過払い金を3年ほど前から広告費に流用していた疑いがあることが分かった。ミネルヴァ代表の川島浩弁護士が産経新聞の取材に答えた。依頼者が集まらず、毎年数億円の赤字を生んでいたというミネルヴァ。14年間で消費者金融から総額7兆円を回収してきた過払い金ビジネスは、終焉を迎えつつある。

 帝国データバンクや第一東京弁護士会などによると、ミネルヴァは6月、51億円の負債を抱えて破産した。約30億円は依頼者に戻すべき過払い金で、残りは広告代理店への広告費などだった。

 過払い金は法定以上の金利で債務者が支払ったもので、請求すれば大半が返還され、その25%以下が弁護士に報酬として入る。法律上争う点は少なく、本来は「リスクが少ない」(都内の弁護士)業務だ。

 だが、財務資料によると、ミネルヴァは平成28年度から昨年度まで依頼者を集める地方相談会として広告費40億円超を支出。一方、依頼者からの報酬は30億円弱で、赤字が続いていた。

 川島弁護士によると、29年8月に川島弁護士が代表を引き継ぐ前から、ミネルヴァでは広告費の支出で足りない分は、依頼者に返還する過払い金を管理していた別口座の金を流用していたという。

 完済者への過払い金の返還額は20年度の5910億円をピークに減少傾向。返還請求は完済後10年内に請求が必要なため、「依頼者の母数が底をつき始めた」と金融関係者は分析する。

 多重債務問題に詳しい新里宏二弁護士は「過払いビジネスはようやく終焉を迎えつつある」としている。

(荒船清太、千葉元)



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