スズキへの補助金 返還求める市民「申請時まだ不正」 浜松市は適法主張


スズキへの補助金 返還求める市民「申請時まだ不正」 浜松市は適法主張

 浜松市がスズキの浜松工場(北区都田町)に約34億5000万円、本社研究施設(南区高塚町)に約9億円の補助金を交付したことが違法だとして、鈴木康友市長(63)に対してスズキからの返還などを命じるように求めた住民監査請求の意見陳述が28日にあった。住民監査請求をした市民573人と1団体の各代表者、市の担当課職員が意見を述べ、市側は補助金の交付が適法だと主張した。

 市の補助金要綱は、申請時にコンプライアンス(法令順守)違反のないことを交付の条件とする。スズキはブレーキなどの検査数値改ざんが発覚し、2019年4月に約201万台のリコールを国に届け出た。市は国土交通省への相談などで、「不正な検査は19年1月までに抑止された」と結論付け、19年6月の申請時は違反の状態が解消されていたと判断して、補助金交付を決定した。

 意見陳述で市民団体「スズキへの補助金に反対する市民の会」の福井晃代表(81)=中区=は「国交省は19年1月までに不正が抑止されたとは言っていない。市職員が国交省で聞いた話だ。不正対策完了は20年6月にスズキが国交省に報告した時点。申請時は不正があった」と述べた。

 市民573人の代理人の藤沢智実弁護士は「国交省の資料で、スズキは08年4月2日~19年1月23日に完成検査不正を行った。本社研究施設の補助金交付申請当日に不正検査もあった。明確なコンプライアンス違反。補助金交付は違法、不当な公金支出であることは明らか」と指摘した。

 監査請求側に対し、市企業立地推進課の川合比呂志課長は「スズキの不正は浜松工場や本社研究施設で行われていない。産業施策や雇用拡大などの公益性があり、違反行為があったとしても、市の補助金要綱のコンプライアンス違反に当たらない。補助金交付は適法だ」と反論した。

 監査請求書などによると、スズキは11~12年度、約75億円で約27ヘクタールを取得し、浜松工場を建設。19年6月7日に国交相から検査不正で勧告を受ける中、6月28日に市と県に補助金を申請。一方、10月28日に静岡地裁浜松支部で655台分(15年1月~19年1月)について、道路運送車両法に基づいて過去最高となる1億9650万円の過料を命じられている。また、13~18年度、本社研究施設関連で補助金を申請した。

 市監査委員は請求があった日から60日以内の11月23日までに監査し、結果を通知することになっている。【福沢光一】



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