
イーロン・マスクが率いるテスラは11月、「テスラ・テキーラ」という名前のテキーラを発売した。
テスラは当初、「テスラキーラ」という名称で申請したが、メキシコのテキーラ規制委員会に阻止された。
テキーラとして販売する場合、そのブランドを損ねることを避けるため、テキーラという言葉を変更せずにそのまま使用しなければならない。
テスラは、ブランド名の「テスラ」に「キーラ」を付けただけと主張したが、メキシコ産業財産庁はその名前での商標登録を拒否した。
新しいテスラ(Tesla)関連商品として発売されたテキーラは当初、「テスラキーラ(Teslaquila)」と呼ばれる予定だったが、この飲料に関するメキシコの厳しい規制のため、面白味のない「テスラ・テキーラ」という名前に落ち着かざるを得なかったと、The Vergeが報じた。
同社は、赤いサテンのショートパンツや1500ドルのサーフボードなど、さまざまなグッズを発売してきており、11月には「テスラ・テキーラ」を1本250ドルで発売した。「テスラ・テキーラ」は数時間で完売となり、eBayで空のボトルを700ドルで転売しようとする者も出てきている。
イーロン・マスク(Elon Musk)CEOは、テスラが倒産したことを思わせる2018年4月のジョーク的なツイートで、最初に「テスラキーラ」という言葉を使った。
イーロンはテスラモデル3にもたれて気絶しているところを発見された。周囲には「テスラキーラ」のボトルがあり、頬には乾いた涙の跡が残っていた
それから数カ月経った2018年10月、「テスラキーラ、近日発売」とツイートし、彼はこの冗談をブランディングにつなげたようだった。
しかしこれは、予想以上に難しかった。テキーラという名は原産地呼称で守られている。つまり、アルコール飲料をテキーラとして売るためには、メキシコで製造した上で各種の規制に従わなければならない。The Vergeによると「テスラキーラ」という名前を付けようとするテスラの試みは、メキシコのテキーラ規制委員会によって阻止された。
「『テスラキーラ』は、テキーラを想起させる。テキーラという名称は保護されている」と、テキーラ規制委員会は2018年11月に主張した。
マーティン・ムニョス(Martín Muñoz)委員長は、「テスラキーラ」の名前は飲み物の原産地に関して混乱を招く可能性があると語り、委員会は2019年2月、産業財産庁に異議を申し立てた。基本的にテスラがテキーラを作りたいなら、テキーラのブランドを損ねることを避けるため、テキーラという言葉は変更を加えずそのまま使用しなければならなかった。
そして1カ月後、メキシコ産業財産庁は、「テスラキーラ」の商標登録を許可しないと裁定した。テスラは7月、ブランド名の「テスラ」に「キーラ」を付けただけと反論したが、当局は納得しなかった。
しかし、ムニョス委員長には悪い感情はないようだ。彼はThe Vergeに「テキーラ業界にとってイーロン・マスクは重要な人物だ。彼は実業家としてのイメージを持ち、この業界のルールを遵守することを示している。これは間違いなくすべてのテキーラ生産者にとってよいことだ」と述べた。
「我々はイーロン・マスクとテスラ・テキーラのブランドを歓迎する」
テスラ・テキーラはカリフォルニアの企業、Nosotros Tequilaが製造した。ロイターによると、同社はメキシコのCasa Maestriの傘下にある。
テスラのプロダクトデザイン担当のハビエル・ベルドゥーラ(Javier Verdura)は、The Vergeの取材に対して、「テスラ・テキーラ」の製造予定については回答しなかったが、稲妻型の特徴的なボトルを製造できるメーカーを探すのに苦労したと語っている。
[原文:Elon Musk wanted to name his tequila ‘Teslaquila,’ but Mexico wouldn’t let him]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)