【ニューヨーク時事】米食品医薬品局(FDA)は11日、米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンに緊急使用許可を出した。
【写真】新型コロナウイルスのワクチンを取り扱う、米製薬大手ファイザーの拠点作業員
米国でのコロナワクチンの許可は初めて。近く接種が始まる見通しだ。感染者、死者数ともに世界最多の米国が、コロナ禍の収束に向け大きく前進した。
トランプ大統領は「史上最も偉大な科学的成果の一つだ」と、ワクチンの開発成功をたたえた。許可後24時間以内に出荷を開始。まず290万回分のワクチンが供給され、16歳以上を対象に接種が始まる。医療従事者ら感染リスクが高い人々が優先され、一般の米国人の接種開始は「来年3月末から4月初め」(米当局)と見込まれている。
ファイザーのワクチンは今月、英国やカナダなどが承認済み。来夏に東京五輪・パラリンピックの開催を控える日本も、近く追随する見通しだ。
ファイザーのワクチンは、コロナウイルスの遺伝情報を伝える物質を体内に取り込んで免疫を作る仕組みで、2回の接種を想定。FDAによると、2回目に接種してから7日後の予防効果が95%に上り、安全上も問題ないと判断された。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によれば、米国のコロナ感染者は累計1570万人超、死者は29万人超と、いずれも世界最多。感染ペースは11月以降加速しており、一段の悪化が懸念される冬本番を前に、接種開始にこぎ着けた形だ。
ファイザーに続き、米バイオ医薬品企業モデルナのワクチンも、17日にFDAの諮問委員会が緊急使用の可否を審議する。英アストラゼネカや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなども、臨床試験(治験)の最終段階に入っている。
これらのワクチンは、コロナ禍という異常事態に対処するため、「記録的な速度」(米政権)で開発されてきた。このため当局や製薬企業は、効果や安全性、供給態勢をめぐる問題が今後出てこないか注視する考えだ。
既にファイザーのワクチン接種が始まった英国では、2人に急性過敏反応のような症状が出た。これを受け英当局は、重いアレルギーを持つ人は接種を控えるよう呼び掛けている。