製造・建設・貿易などの分野で事業をする大企業A社は2018年に5兆ウォンを上回る営業利益を上げた。しかし2019年に収益性が悪化して営業利益は30%ほど減り4兆ウォンに満たなかった。今年4-6月期には赤字を記録した。A社はその後コスト削減などの自助策を展開して黒字転換に成功したが、新型コロナウイルスの影響で不確実性は相変わらずだ。
A社だけ危機を体験しているのではない。昨年韓国企業の総営業利益が過去最大幅で落ち込んだ。大企業の利益は2011年の統計作成開始以降で初めて減少した。対外経済状況が厳しくなり韓国の主力産業である製造業も不況に陥ったためだ。今年は新型コロナウイルスのため企業の経営実績がさらに悪化しかねないとの見通しが出ている。
◇マイナス22.7%…2年連続マイナス
統計庁が14日に発表した2019年営利法人統計(速報値)を見ると、昨年の韓国企業の営業利益は2018年の284兆ウォンより22.7%減少した220兆ウォンを記録した。これまで韓国企業の営業利益は韓国経済の成長とともに上がり続けてきたが、2018年に初めてマイナス2.1%を記録し2年連続で下り坂を歩いている。
企業利益が減ったのは昨年世界の貿易量が減った影響が大きい。特に米国と中国の貿易対立で韓国経済の屋台骨でもある輸出が被害を受けた。
製造業分野で国際原油価格、半導体価格、液晶パネルなどの価格下落が悪材料として作用した。統計庁のキム・ジン行政統計課長は、「半導体の場合、DRAM価格が昨年約61%下がり、原油価格も前年比約9%下がった。液晶パネルも中国などが低価格で生産し供給過剰現象が発生した」と説明した。
◇大企業・製造業に直撃弾
輸出と製造業の景気悪化は特に大企業の業績に打撃を与えた。昨年は大企業、中堅企業、中小企業に関係なくいずれも営業利益が減少した。全体の半分以上の56.8%を占める大企業の影響が大きかった。大企業の営業利益は前年比31.5%急減した。大企業の営業利益が減ったのは2011年に統計作成を始めてから今回が初めてだ。中小企業の営業利益も10.3%減少した。
産業別で見ると製造業の営業利益が40.1%急減し、金融保険業が25.7%減、建設業が6.5%減と振るわなかった。これに対し不動産業は40.6%、専門科学技術業は66.0%)、宿泊飲食業は50.3%営業利益が増加した。
◇「今年の経営も厳しい」
昨年の企業数は75万3000社で前年比6.2%増えており、従事員数も1037万1000人で1.1%増加したことがわかった。全売上額は前年比1.9%増の4987兆ウォンだった。
今年は半導体など一部分野の業況が業績改善を牽引しているが、新型コロナウイルスの影響が企業の足を引っ張るだろうという見通しが出ている。韓国経済研究院のホン・ソンイル経済政策チーム長は「昨年企業の業績が大きく悪化したのは、2018年まで良好だった経営状況によるベース効果の影響もある。昨年は営業利益の減少幅が大きかっただけに今年の状況がもっと大きく悪化する可能性は少ないが、昨年よりも成長するのは難しいだろう」と話した。