LGエレクトロニクスが消費者家電見本市のCES2021で公開した巻き取り式スマートフォン「LGローラブル」
LGグループが携帯電話事業を始めたのは1995年にLG情報通信が「ファトン」を出してだ。LGエレクトロニクスMC事業本部は2000年にLG情報通信がLGエレクトロニクスに吸収されて誕生した。一時「チョコレートフォン」と「シャインフォン」「プラダフォン」などが大人気を呼んで好調を見せた。だが2016年に投入した戦略スマートフォン「G5」が失敗して兆単位の赤字を出し始めた。
市場調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、LGのスマートフォンは昨年7-9月期に世界販売台数800万台、シェア2.2%にとどまった。世界順位が9位で中国のOPPOやVivoを下回る。昨年には「ベルベット」「ウイング」などを出したが反騰に失敗した。「Gシリーズ」を断念したことに対しては「頻繁なブランド変更が悪材料になった」という評価もある。自助策として平沢京畿道(キョンギド・ピョンテク)の生産ラインをベトナムのハイフォンに移し、この6年間で事業部のトップを4回交代するなどの処方を出したが効果がなかった。
11日に世界最大の家電見本市「CES2021」で画面を巻き取るスタイルのスマートフォンの映像を公開し好評を受けたが、これは技術力を誇るものであり、販売台数は30万~50万台になるものと評価される。
モバイル業界ではLGエレクトロニクスのスマートフォン事業の売却・撤退説が絶えなかった。2015年には「グーグルがLGスマートフォン事業部を買収する」といううわさが広まり騒ぎとなった。この時ごとにLGエレクトロニクスは「事実無根」としながら否定してきた。
今回の売却検討説は年初にLGエレクトロニクスがMC事業部の役割を減らす側に構造調整を進めたことにより社内で広まった。LGエレクトロニクスは研究人材を大幅に減らし、製造者開発生産(ODM)事業担当を新設するなど原価構造を改善する方向で事業構造を再編した。だが今回はLGエレクトロニクスのクォン・ボンソク社長のメッセージを通じ事業全面見直しを公式化した。
スマートフォン事業の運営方向を見直すという決定は具光謨(ク・グァンモ)LG代表の意中が反映されたとみられる。具代表は2018年の就任後から新事業を積極的に推進してきた。昨年LGエレクトロニクスが世界3位の自動車部品メーカーのマグナと合弁でLGマグナを設立したのが代表的だ。代わりに液晶パネル(LCD)のような赤字事業は果敢に整理した。財界関係者は「人工知能(AI)とロボットなど未来事業を中心に事業を再編するという(具代表の)戦略的判断によりスマートフォン事業をどうにか効率化するという方向で枠組みが決まったと分析される」と話した。
ただ雇用を維持するという原則は明確にした。一時5000人を超えたMC本部は現在3700人水準だ。クォン・ボンソク社長はこの日、「事業運営方向がどのように決まっても原則的に構成員の雇用は維持されるので不安に思う必要はない」と強調した。LGエレクトロニクス関係者はこれに対して「故具本茂(ク・ボンム)会長は通貨危機状況でも『人材構造調整はない』と宣言し、実際そのようにした。今回のCEOメッセージは雇用維持の原則を守るという意味」と話した。
LGエレクトロニクスはMC事業を全面放棄するのは容易でない状況だ。今後第5世代(5G)通信とモノのインターネット(IoT)を基盤に家電やモビリティがつながる時にスマートフォンが核心役割をする。一部ではMC事業売却や撤退よりはODMを拡大して業績改善を狙うだろうという観測が出ている。または、プラットフォームや自動車など非スマートフォン事業者に事業部を売却した後に戦略的提携を通じてスマートフォン事業と連係する案も議論される。
現代車証券リサーチセンター長のノ・グンチャン氏は「事業部を売却するといってもスマートフォンは『家電のハブ』の役割をしなければならず、完全に排除はしないとみる」と分析した。
この日LGエレクトロニクスの株価は前日より12.84%(1万9000ウォン)上がった16万7000ウォンで取引を終えた。過去最高値で、時価総額は27兆3292億ウォンに増えた。