サムスン電子が世界のIT大企業のうち税金負担率が最も高いことがわかった。税金負担率はグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのいわゆる「GAFA」の2倍に達し、日本のトヨタ、ドイツのシーメンス、スイスのネスレなど主要国の代表企業よりも高かった。
日本経済新聞は9日、2018~2020年のサムスン電子の平均法人税負担率が27.8%で15.4%であるGAFAより2倍近く高かったと報道した。この期間に世界5万7000社の企業の法人税有効税率(法人税費用÷税引き前純利益)を分析した結果だ。
同じ基準で日本最大企業のトヨタの法人税負担率は24.8%、シーメンスとネスレなども20%台前半でサムスン電子より低かった。世界5万7000社の企業の平均有効法人税率は25.1%だった。
サムスン電子が競合企業のうち最も高い税金負担を背負っているのは、各国政府が法人税引き下げ競争を行う中で韓国だけが法人税率を上げ逆行したためと分析される。
米国は2010年に40%に達した法人税実効税率を25.8%に15ポイント近く引き下げた。2010年に法人税率が40.9%だった日本も現在は29.74%で10年間に11ポイント以上税率を引き下げた。韓国は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後の2017年に法人税最高税率を地方税含め24.5%からで27.5%に上げた。
◇グーグルの半分だったサムスンの税負担率…3年ぶりに2倍に上昇
2017年のグーグルの税引き前純利益に対し法人税費用が占める割合である法人税有効税率は53.4%だった。同じ時期に24.9%だったサムスン電子の法人税有効税率の2倍以上だった。3年ぶりに様相は正反対になった。この3年間でサムスン電子の有効税率は27.8%に上昇したのに比べグーグルを含む米国のビッグテック企業の税金負担率は15.4%でサムスン電子の半分水準まで大きく落ちた。米国をはじめとする各国政府が法人税引き下げ競争を展開する時に韓国政府だけが法人税を引き上げ逆行した結果という分析が出ている。
◇税負担逆転した韓米代表企業
日本経済新聞が9日に報じたところによると、2018~2020年の3年間のサムスン電子の法人税有効税率は27.8%で米国のGAFA平均の15.4%より2倍近く高かった。
2017年にグーグルの法人税有効税率は53.4%で24.9%だったサムスン電子より2倍以上高かった。しかしその後各国が先を争って法人税を引き下げたのに対し韓国は2017年に法人税率を24.5%から27.5%に引き上げて状況が変わった。
2018年にGAFAの税金負担率は20%未満に落ちたのに対し、サムスン電子の税金負担率は27.5%に増加した。2019年にサムスン電子の負担率は28.6%に上昇した。2018~2020年の3年間の平均は27.8%と集計された。この期間にサムスン電子が負担した法人税は35兆4457億ウォンに達する。
主要国のうち法人税を最も積極的に下げた国は米国だ。2010年に40%に達していた法人税を25.8%と10年間に15ポイントほど低くした。このため日本経済新聞が分析した5万7000社のうち米国企業の平均税負担率は約20%で、20%後半台の他の地域よりはるかに低かった。同じ期間に英国も法人税率を10ポイント近く引き下げた。イタリア、カナダ、フランスなども法人税率を5ポイント近く下げた。
◇各国は法人税引き下げ競争
経済協力開発機構(OECD)が昨年発刊した「OECD加盟国の税制改編動向」報告書によると、昨年法人税を引き下げた国はフランス、オランダ、ベルギーなど8カ国だった。ギリシャなど4カ国だった前年より2倍に増えた。
これに対し2017年以降唯一法人税を上げた韓国の税率はOECD加盟36カ国のうち6番目に高かった。2011年の21位から順位が大きく上昇した。主要7カ国(G7)のうちフランス(32.0%)とドイツ(29.9%)、日本(29.7%)、イタリア(27.8%)の法人税率は韓国より高い。
だがフランスは2022年までに法人税有効税率を25%に追加で引き下げる計画だ。イタリアは税率を下げていないが、減価償却、研究開発租税支援など制度を改編して企業の法人税負担を減らした。
ドイツと米国は減価償却特例を拡大した。OECD加盟国のうち20カ国が税率引き下げをはじめと各種法人税租税特例を導入し法人税負担を低くしたと分類された。日本とドイツの税率が韓国より高いのにトヨタとシーメンスなど代表企業の税金負担率がサムスン電子より低いのはこうした恩恵のためと分析される。
各国が法人税引き下げ競争を行った結果、国内総生産(GDP)で法人税収入が占める割合はますます低くなる傾向だ。米国の法人税収入の割合は1990年以降2%前後を維持してきたが、2019年は1%以下に急落した。英国は3%未満、イタリアは2%未満に落ちた。
韓国の状況は反対だ。「国民の力」のユ・ギョンジュン議員が先月23日に発表した「2020年OECD税収便覧分析報告書」によると、韓国の全租税収入のうち法人税の割合は15.7%だった。OECD平均の10%より1.5倍高い。韓国企業の競合企業が集まっている米国の4.1%、ドイツの5.6%と比較すると3倍ほど高い。
◇国際デジタル税導入議論
日本経済新聞の調査を見ると、GAFAの税負担率は平均より低い点を確認できる。本社がある米国の税率が低い上に地域本部を法人税率が低い国に置く節税方式のためと分析される。
このためデジタル税やグローバル最低限税率など巨大IT企業に対する国際的な課税規定を設けようとする動きが活発になっている。OECDは巨大IT企業に対する最低法人税率を世界共通で導入しようと提案した。米国は世界100大企業を対象に売り上げが発生する国が課税権を分け合う方式を提示した。イエレン米財務長官も5日に各国の法人税率下限線を定めるために主要20カ国(G20)と協力中だと明らかにした。
米フロリダ大学のミンディ・ハーツフェルド教授は、「無形資産が生む利益より、工場などの有形資産から発生した利益を多く捕捉しがちだ。ビジネスモデルの変化にまだ対応できていない」と指摘した。