カハー・カゼム韓国GM社長(左から2人目)とキム・ソンガプ金属労組韓国GM支部長が2020年12月21日、仁川富平本社で「2020年賃金および団体協約調印式」の後、労使交渉がまとまったことを祝って握手している。[写真 韓国GM]
韓国GM(ゼネラルモーターズ)の最高経営陣と労働組合執行部が合同でメキシコ工場と米国本社を訪問する。海外事業所をベンチマーキングし、労使がお互いの理解の幅を広げ、製造競争力を確保するという趣旨だ。
◆デトロイト本社、メキシコ工場などを訪問
3日、韓国GM労使によると、カハー・カゼム社長とチェ・ジョン副社長、クレイトン・ウィテカー副社長ら経営陣と、キム・ソンガプ金属労組韓国GM支部長、キム・ボンオク労組政策室長、チャン・スンヨン昌原(チャンウォン)支会長ら労組執行部が今月7日から1週間の日程で「GM本社ビジョンツアー」に出発する。今回のスケジュールは、昨年の賃金および団体協約当時に合意した「海外ベンチマーキングの実施」条項に基づいて準備された。カゼム韓国GM社長は「出国停止期間延長処分は不当」という裁判所の判決が1日に確定したことから、海外出張が自由にできるようになった。
韓国GM労使がベンチマーキングの対象としたのはメキシコ・シラオ工場だ。現在、米国内だけで電気自動車を生産しているGMが米国以外の地域のうち、初めて電気自動車の量産を検討している場所だ。GMの北米・中南米地域の輸出拠点の役割をしている。米国の伝統的な自動車工業地帯の「ラストベルト」(衰退した工業地帯)地域の工場と比較すると、メキシコ工場は相対的に労働組合の勢力が弱い。
労使はメキシコ工場の視察後は、米国デトロイトGM本社に移動する予定だ。スティーブン・キーパーGM本社上級副社長とGMグローバルシボレーブランド責任者、GMグローバル労使部門・生産統括責任者、電気自動車技術研究所役員と10~11日に会うことにした。韓国GMは「今回の労使合同海外ベンチマーキング活動は、現在の韓国製造事業所の競争力に関して相互理解を深めることを目的として行われるもの」と説明した。
◆生産競争力のベンチマーキング…労組「電気自動車割り当て要求」
韓国GM労組は、米国本社の経営陣との会議で、電気自動車物量の割り当てを強く要請する計画だ。2日、労組ニュースレターを通じて、韓国GM労組は「GM本社は短期的な利益より長期的な観点で韓国市場に対する内外戦略について新たに検討しなければならない」とし「韓国GMは新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)にも関わらず生産が中断したことがなく、安定した内需市場と生産能力を持っており、電気自動車の誘致に有利だ」と強調した。
今回の日程のため韓国GM労使は賃金交渉を中断することにした。労使は先月27日の顔合わせを皮切りに、3度の交渉を行った。4度目の交渉は海外工場の訪問後に再開される予定だ。