主要国政府が新型コロナウイルスの衝撃から経済を回復させるために展開した拡張財政政策を安定基調に戻している。危機に対応して悪化した財政健全性を回復させ長期的な成長動力を用意するためだ。韓国が今年と来年まで拡張財政基調を強調しているのとは対照的だ。
韓国租税財政研究院財政支出分析センターが最近企画財政部の「月刊財政動向とイシュー」6月号に寄稿した主要国の予算案と中期財政運用方向報告書を見ると、ドイツやフランスなど主要国が赤字を減らすための中長期計画を出している。短期的には景気浮揚に向けた財政政策を展開するが、経済が回復すればこれまでの財政支援を中断して赤字と負債を減らすことに重点を置く方向だ。
これに先立ちドイツは4月に追加補正予算案を確定する一方、「2021安定化プログラム」を通じ一般政府の構造的赤字上限線を国内総生産(GDP)の0.5%水準に設定することを中期目標として設定した。これを基に今年はGDP比9%まで拡大した財政赤字の割合を来年には3%に減らすというのがドイツの目標だ。
フランスも4月に「2021~2027財政安定化プログラム」を発表した。景気が回復すれば2027年まで年間公共支出増加率を0.7%に制限する内容だ。フランス政府はGDP比の財政赤字の割合を3年後の2024年からは3%台に引き下げる計画だ。
米国もやはり長期的には保健・リタイアプログラム関連支出などの財政圧力があると予想し財政赤字を減らすと明らかにした。米国政府は来年の財政赤字を前年推定値より約50%少い1兆8370億ドル(GDP比7.8%)と予想する。
韓国政府は2025年から国の債務がGDPの60%を上回ったりGDP比の財政赤字の
割合が3%を下回らないよう管理する内容の「韓国型財政準則」をまとめたが、今年は全国民災害支援金などを支給するための第2次追加補正予算を検討しこれすらも守るのが困難になった。政府は今年初めに14兆9000億ウォン規模の第1次追加補正予算を編成した。第2次追加補正予算は30兆ウォン前後に達する見通しだ。
財政政策研究院のキム・ジョンフン院長は財政動向寄稿文を通じ「財政が一定期間拡大した後にこれを再び抑制できる能力が財政運用の枠組みに内在していない場合、財政は回復力を喪失する可能性がある」と指摘した。