欧州連合(EU)が14日(現地時間)、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)施行法案」を打ち出し、韓国企業らが営業利益を全部国境炭素税で納付する可能性があるという懸念の声があがっている。EUは、施行法案で国境炭素税を2026年から鉄鋼・セメント・肥料・アルミニウム・電気など5つの分野にまず適用すると明らかにして、特に鉄鋼製品を輸出するポスコ・現代製鉄などが影響を受けることになった。またEUは2035年から事実上、ガソリン・ディーゼル車を売らないようにすることで韓国の自動車業界にも波紋が予想される。
EUの国境炭素税の適用対象となる韓国企業は15日「予想はしたが、これといった対応策がなく、営業損失を推算している」と訴えた。
EUは今回炭素税率に対しては具体的に明示していないが、国際通貨基金(IMF)が2019年提案した2030年から1トン当たり75ドル(約8200円)前後に決定される可能性が大きいと業界は予想している。これを基準に、最近EYハンヨンが発表した「気候変動に対する規制が韓国輸出に及ぼす影響分析」報告書によると、韓国の鉄鋼EU輸出額は約3兆3000億ウォン(2019年)だが、2030年から約4000億ウォンを国境炭素税で払わなければならない状況だ。
鉄鋼企業は直ちにこれといった対策がなくて戦々恐々としている。ポスコの場合、溶銑を作る現在の高炉を稼動して40~50年が経ち、現代製鉄は10年程度使った。100年程度の使用年限がほぼ終わった主な欧州企業の状況と違う。
業界は政府の交渉力に期待している。政府の炭素削減政策により、各企業が中・長期戦略を立てて推進しているため、時間を稼ぐ必要があるということだ。
対外経済政策研究院のムン・ジニョン・グローバル戦略チーム長は「EU加盟国間の異見もあって産業群と地域によりEU内でも利害関係が異なるため、今後韓国政府のEU説得の過程で国内産業の被害が変わる可能性がある」と政府の役割を強調した。
EU執行委が国境炭素税とともにEU加盟国27カ国でガソリン・ディーゼル新車販売を事実上禁止する案を提案したのも波紋が尋常でない。EU執行委は2030年から新規車両の炭素排出を2021年比55%減らし、2035年からは100%削減させる案を提示した。
現代車と起亜は、すでに欧州など各国の炭素規制に合わせて事業計画を反映しているとしながらも、電気車技術の開発速度を上げるという立場だ。今年を電気車元年にして2025年までに電気車の販売量を年間100万台水準に増やすという目標だ。