
現場付近の路上を調べる警視庁の捜査員(15日午前11時28分、東京都文京区で)=三浦邦彦撮影
大学入学共通テスト初日の15日朝、試験開始直前の東京大学弥生キャンパス(東京都文京区)前の歩道で、受験生ら3人が包丁で刺された。殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたのは、家族が行方不明届を出していた名古屋市の高校2年の少年(17)。受験生や保護者に衝撃が走り、各会場で警備が強化されるなど緊迫した。
【図版】東大弥生キャンパス

(写真:読売新聞)
警視庁幹部によると、少年は東京メトロ南北線東大前駅で下車。地上に出た後の午前8時半頃、着ていた学生服の内ポケットから包丁を取り出し、豊島区の男性(72)の背中を刺した。さらに走って、会場に向かっていた千葉県の女子生徒(17)と男子生徒(18)を相次いで襲った。
直後に現場付近を通りかかった都内の高3の男子生徒(18)は「男性が交番の椅子に寄りかかるように座り、警察官が『頑張って。もうすぐ救急車が来るから』と声をかけていた」と怖そうに語った。
捜査関係者によると、少年は3人を襲った後、弥生キャンパスの農学部正門前にいた東大職員の前で「俺は死ぬしかないんだ」と叫びながら、自分の腹に包丁を向けた。職員が「落ち着いて」となだめると、その場に包丁を投げ、バッグを地面に置き、近くの壁にもたれかかるようにしゃがみ込んだという。