10月28日、高市早苗首相(64)はドナルド・トランプ米大統領(79)と東京・元赤坂の迎賓館で、両者にとって初の対面となる首脳会談に臨みました。この会談では、日本の防衛費増額の方針や、高市首相からトランプ大統領へのノーベル平和賞推薦といった、今後の日米関係と国際社会に大きな影響を与えかねない主要な議題が話し合われ、国内外で様々な波紋を呼んでいます。
高市首相とトランプ大統領、日米首脳会談で握手(写真:時事通信)
防衛費増額と日米防衛協力の強化
高市首相は会談において、日本の防衛費を国内総生産(GDP)比2%に2年前倒しで引き上げるという政府の方針をトランプ大統領に説明しました。これに対しトランプ大統領は、日本が米国の防衛装備品を大量に調達していることに対し、謝意を表明したと報じられています。この防衛力強化への明確なコミットメントは、インド太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の重要性を再確認する機会となりました。日本が防衛費を増額し、米国製装備品の調達を継続することは、日米間の防衛協力体制を一層強固にするものと見られています。
トランプ氏へのノーベル平和賞推薦の背景と波紋
防衛費増額でトランプ大統領からの謝意を引き出した高市首相は、会談の中でさらに一つの「プレゼント」を用意していました。それは、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を伝えたことです。
高市首相は会談冒頭で、トランプ大統領がガザの停戦合意など和平に尽力した点を評価したとされています。トランプ大統領自身も、第二期大統領就任から9カ月でガザを含む「8つの戦争を止めた」と自画自賛し、平和賞獲得に強い意欲を示してきました。高市首相の今回の推薦表明は、このトランプ大統領の意向を支援する形となります。
しかし、トランプ大統領の主張には懐疑的な意見も少なくありません。ある全国紙政治部記者は、「少なくとも、5月のインドとパキスタンの停戦を巡っては、インド側がトランプ氏の主張を否定しています。また、対立が解消していない国もあるため、トランプ氏の主張は誇張と言えるでしょう」と指摘しています。
今年のノーベル平和賞はベネズエラの反体制派指導者であるマリア・コリナ・マチャド氏が受賞しており、ホワイトハウスはこれに対し不満をあらわにしました。これまでにトランプ大統領の主張を肯定し、ノーベル平和賞に推薦している国は、イスラエル、パキスタン、カンボジアなどごく少数です。BBCの7日付の記事では、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ノルウェー・ノーベル委員会にトランプ氏を推薦した、数少ない世界の指導者の一人だ」と表現されており、高市首相もこの「数少ない世界の指導者」の仲間入りを果たしたことになります。
安倍元首相の先例と外交上のリスク
今回の高市首相の推薦は、過去の事例を想起させます。7年前の第1次トランプ政権時にも、故・安倍晋三元首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦していました。安倍元首相を慕う高市首相としては、この先例を踏襲した形と見ることができるかもしれません。
しかし、現在の国際情勢は当時とは大きく異なります。特に、ガザにおけるイスラエルによる市民の犠牲は世界的に非難されており、そのイスラエルを長年支持してきたのがトランプ大統領です。世界ではイスラエルへの批判的な風向きが日々強まる中、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦することは、イスラエルに批判的な諸外国から「軽く」見られるリスクを伴います。前出の政治部記者は、「アメリカとの関係を鑑みた上での判断だとは思いますが、”おもねりすぎ”という指摘がきても仕方ないのではないでしょうか」と警鐘を鳴らしています。
SNS上での国民の反応
今回の高市首相の行動に対し、SNS上では懸念を示す声が多数上がっています。特にX(旧Twitter)では、その「おもねりぶり」に対して批判的な意見が相次いで投稿されています。
- 「媚びすぎでは?貢ぎすぎると都合のいい女として扱われるよ」
- 「揉み手で媚びてる感じ…全然美しくないし、誇り高くもない気がするなぁ」
- 「このわかりやすいごますりを見て、世界が失笑していると思うし、やればやるほど日本への信用は失われていくだけだろう。信者向けのアピールにはなっても国益にはつながらない」
といった声が散見され、国内外での日本の評価や国益への影響を懸念する意見が多く見られます。
結論
高市首相とトランプ大統領の初の首脳会談は、防衛費増額と日米防衛協力の強化という重要な側面を持つ一方で、トランプ大統領へのノーベル平和賞推薦という異例の行動を通じて、国内外で大きな議論と懸念を巻き起こしています。この推薦が今後の国際社会における日本の立ち位置、そして高市首相自身の外交手腕にどのような影響を与えるのか、引き続き注目されます。日米関係の深化は重要ですが、その過程で国際的な批判を招きかねない行動は慎重な検討が求められます。
Source link: Yahoo!ニュース





